盛岡タイムス Web News 2012年 3月 25日 (日)

       

■ 〈ジジからの絵手紙〉8 菅森幸一 白い粉の恐怖

     
   
     
  終戦直後、日本中に「発疹チフス」という伝染病が流行した。コロモシラミが媒介する恐ろしい病気で高熱と発疹が主な死亡率の高い病気だった。衣類の不潔や入浴の不自由さから広がるもので、戦争が起きると大量に発生することで「戦争チフス」とも呼ばれた。

  ある日、学校に進駐軍と保健所の人がやって来て、皆を集め身体中に白い粉をかけ始めた。この粉はDDTと呼ばれ強力な殺虫剤で、安価なため後に農薬としても使われたが、動物の体内に蓄積する「残留毒素」が問題になり1969年には生産が中止になった危険な薬だった。
  先生も生徒も真っ白になり異様な匂いの粉末が飛び散る中で、涙は出るし咳は出るしで大変な騒ぎだった。

  このDDTの散布は駅や連絡船乗り場等で通常に行われ、おかげで日本中に猛威を振るった「発疹チフス」は急激に減ったものの、しばらくは知らずにこの危険な殺虫剤を日本人の誰もが使っていたのだから恐ろしい。

  何も知らないジジたちの間では、砂を掛け合う「DDTごっこ」なるばかばかしい遊びがしばらくはやった。

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