盛岡タイムス Web News 2012年 5月 19日 (土)

       

■  <舗石の足音〉404 藤村孝一 曲紹介は「くどくない」のがいい

 現在テレビで放送している「歌の番組」はJポップがほとんどである。

  毎週放送する歌謡曲・演歌番組で辛うじて現在残っているのは、朝日テレビの「演歌がええじゃん」、BS朝日の「新平成歌謡塾」、NHKの「歌謡コンサート」(45分)、「BS日本のうた」(90分)だけである。

  NHKではこの4月、人事異動があったらしく、「スタジオパークからこんにちは」の司会者が代わり、「おばんですいわて」にも新しいアナウンサーが現れた。「BS日本のうた」も司会は長身(185a以上か)で、若い、青井実アナウンサーになった。

  「歌謡コンサート」の方はなぜか変わりなく「あのアナウンサー」である。7年目に入った。彼はよほど視聴者に人気があるか、制作者の厚い信頼を得ているのだろう。本人も歌謡番組の名司会者だと思っているのかもしれない。わたしは演歌好きなので、この6年間我慢してきたが、また忍従の1年(数年?)が始まるようだ。

  いろいろと不満はあるが、最も気になるのは「歌う曲名の紹介の言葉」である。わたしは聞くたびに具合が悪くなりそうである。あのアナウンサーは、最近も前奏部分の曲の紹介で、「恋を忘れる一人旅、寂しさに心が凍えます。『無人駅』」「叶わぬ恋、断ち切れぬ思い、愛しい人の面影を海に浮かべます。北野まち子さん、『海峡の月』」と歯が浮くような名文句を語った。

  演歌はもともと暗く、寂しく、情感があふれている。うまい歌手なら歌の「思い」を伝えてくれる。だから、歌を聴いていれば描く情景や心情は十分に分かる。それに画面には歌詞も出る。曲や歌詞の中身について、わざとらしく言うのは「お節介」である。聴く者に任せてほしいものだ。

  曲の紹介の言葉を他の人と比べてみた。青木アナウンサーは、あのアナウンサーに近いと思われる言い方でも、「ひたすらにいとしい人を思う健気な女性を歌った川中美幸さんの代表曲『あなたひとすじ』、上杉香緒里さんの歌声でお届けしましょう」程度である。「歌謡コンサート」の前任者(2006年3月まで)阿部渉アナウンサーは「常に初心を大切にしたいという永井裕子さんです。いちずな恋を貫く女心を歌いあげます、『さすらい海峡』」のように言った。また、「NHKのど自慢」でも、徳田章アナウンサーは、ゲスト出演した演歌歌手が最後に歌う時、曲名を紹介する。「女心の未練を田川寿美さんが歌います。『霧笛』」などと言う。「歌謡コンサート」の今のアナウンサーの言い方と他の3人のアナウンサーの違いは何だろう。3人のアナウンサーは比較的あっさり言い、歌の内容に深く立ち入ってはいない。

  では、NHK以外の演歌番組の司会者はどう言っているだろうか。「演歌がええじゃん」の司会竹島宏は曲名と歌手名しか言わない。「新平成歌謡塾」の司会の2人の女性演歌歌手も曲名と歌手名しか言わない。演歌歌手ゆえに、内容について前もって言えば「くどくなる」ということを知っているからであろうか。

  「歌謡コンサート」の司会者の言葉を聞いて一つの成句を思う。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」。


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