盛岡タイムス Web News 2012年 5月 31日 (木)

       

■  〈おとうさん、絵本です〉383 岩橋淳 アナボコえほん

     
   
     

 井上洋介さん(1931〜)といえば、本邦ではもう、大ベテランの域に属する絵本作家です。否、絵本作家、と書きましたが、ナンセンスマンガの領域で相当の仕事をしてきた方で(一転、名作・神沢利子作「くまの子ウーフ」の挿絵も代表作のひとつではありますが)、ヒトコマごとにニヤリとさせる展開の作風は、ストーリーものよりは、見開き一ページの味わいで勝負をかけるタイプ。…、従いまして、絵本のおもしろさを無謀にも文章でお伝えしている本稿ではこれまで、ご紹介の機会をなかなか得られずにおりました。しかし、そうも言ってはいられません!

  本作は、「もしも○○にアナボコがあいていたら」をテーマに、さまざまなケースを想定したもの。もちろん、立脚点は「ナンセンス」ですから、「なんでコレに?」なんて理屈は言いっこなし。 「そらのてっぺん」→「どしゃぶりのあめ」は、まぁアリ(?)ですが、トンカチにアナが開いていてくぎが打てないとか、電車の床にアナがあって乗客がつり革にぶら下がっているとか、橋にアナがあいていれば魚が跳ねるのに便利、といった展開になっても、悩んでいちゃあいけないのです。ついには食卓にアナがあいてごちそうがどこかへ消えたり、ついには空からアナが降ってきたりしても、です。
 すべては、作者のひらめきのままに。

  【今週の絵本】『アナボコえほん』井上 洋介/絵・文、フレーベル館/刊 1260円、(1986年)


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