盛岡タイムス Web News 2012年 6月 7日 (木)

       

■ 制度開始9カ月で県内被災者救済2件 岩手弁護士会が個人版私的整理ガイドライン改善申し入れ

 東日本大震災津波の被災者の個人ローンを一定の条件のもとで免除する「個人版私的整理ガイドライン」で、被災者が救済された件数が、制度開始から9カ月余りたっても、全国で22件、県内では2件にとどまっている。岩手弁護士会(渡辺正和会長)は6日、制度の利用条件となっている残ったローンの返済期間を、定められている5年ではなく、被災者の実情に合わせて延長することなどを求める申し入れ書を金融庁(畑中龍太郎長官)と同ガイドライン運営委員会(高木新二郎代表理事)に送った。

  ガイドラインは被災者が破産せずに、住宅ローンなどの減免を受けられる制度。二重ローンから解放し、生活再建を後押しする目的で昨年8月22日にスタートした。当初は1万件の利用を見込んでいた。1日現在の相談件数は2063件、債務整理の成立に向けて準備に入った件数は625件(うち県内は71件)で、相談しても制度の手続きに至っていない例が目立つ。

  岩手弁護士会の渡辺会長と吉江暢洋副会長は6日、県庁で記者会見し、制度の周知が図られておらず、義援金など本来、被災者の手元に残し生活再建に充てられるべき財産も不合理に借金返済に充てられている、と問題を指摘した。

  ガイドラインでは、土地や建物を所有したままローン返済の一部免除を受ける場合、残ったローンの返済期間を「原則5年以内」としている。しかし、実際には震災で職を失うなどした被災者が、5年以内で返済を終えるのは難しい場合が多い。債権者側が5年を超える返済計画を検討する意思を示しているにもかかわらず、計画案を審査するガイドライン運営委員会が認めないケースもあった。渡辺会長は「被災者の生活再建支援の目的に従い、被災地の実情に合わせた柔軟な運用をすべきだ」と訴えた。

  利用が進まない理由として、借金に関する直接的な相談窓口となる金融機関が、被災者に制度を十分、説明していないことも問題視されている。制度の内容を知らせないまま、一時金の支払いを勧めたり、新しい借金返済計画の契約を結ばせているケースが少なくないという。この問題については日本弁護士連合会も5月18日付で、金融庁に対し、金融機関への指導を徹底するよう申し入れた。

  吉江副会長は「金融機関は債権の回収にのみ重きを置いた態度を改め、率先して制度の周知を図り、利用を勧めるべき」と強調。弁護士会としても広報などで周知に努め、制度のほかの問題点についても申し入れしていく考えを示した。

  債務整理のガイドラインに関する問い合わせはコールセンター電話0120―380―883、ガイドライン運営委員会岩手支部・電話019―606―3622へ(受け付けは午前9時〜午後5時)。


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