盛岡タイムス Web News 2012年 6月 25日 (月)

       

■ 〈幸遊記〉77 照井顕 藤嶋功作の王と玉の様

 あれは2004年の3月、藤嶋功作というカッコイイ名前の男が、僕の店にやって来て「雑誌で見て記憶してたんだけど、確かこの店に“タイムドメイン”のスピーカーあるって、それを聴かせてください」と言った。

  ところがその時、スピーカーは貸し出し中。仕方なく僕が口で説明したところ、「最高に気に入った!そのメーカーの“YOSHII 9”を取り寄せてもらいたい」そして「一生涯の兄弟友達になってほしい」と言うのだった。僕も即、喜んでOKした。

  話を聞けば、それまで横浜の広告代理店に勤めて、クリエイティブ・ディレクターの仕事してたが、弱った母の面倒を見るために、会社を辞め2月に盛岡の実家に戻って来たのだと言う。ところが、戻って3日後に母が亡くなって、途方に暮れてしまったと。

  彼は1956(昭和31)年盛岡に生まれ、山岸小、下小路中、市立高から千代田デザイン専門学校に学び、30年近く東京、神奈川暮らし。1987年、木村克美、田崎真也という名だたるソムリエのセミナーに1年間通い、ワインに開眼。間もなくヨーロッパに渡り、ミラノ、ローザンヌ、リオン、シャニー、ボナス、パリ、ブリュッセル、バルセロナ等の有名レストランを巡り、ワインと食の濃密な関係を体感し帰国、以 来ワインに没頭し続けた。

  そんなこともあって彼は、盛岡で店をやろうと、その4月「ワインの王様」というバーを開業。そこで僕は、珍しい形状のタイムドメイン・スピーカーを、カウンター上にセッティング。ジャズがどこから流れて来るのかと、客は不思議がった。ワイン通としても知られるジャズピアニスト・穐吉敏子さんの盛岡公演時、提供するワインを必ず彼に選ばせ、彼女の反応や喜ぶ顔を見るのも、僕の楽しみの一つ。

  その藤嶋さんが今度は、何とラーメン屋を開業した。自分が食べたいラーメンを作るための店だという。なので、いつもスープの研究に余念がない。薄味のラーメン上に乗っかる、親指ほどもある極太メンマのダイナミックなうまさ!穂先メンマの繊細で上品な味わい深さ!共に感動的である。ミスマッチと思われそうなラーメン屋でのワインも乙なもの。

  盛岡桜山神社前の鶴ヶ池渕「藤嶋家・玉(ぎょく)」王の次に玉とくれば、将棋の一つもさしてみたくなる気分。おいしさ至玉!
      (開運橋のジョニー店主)


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