盛岡タイムス Web News 2012年 6月 25日 (月)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉151 及川彩子 食文化「ヌッテラ」

     
   
     
  イタリア人の台所に欠かせない物と言ったら、オリーブ油とパスタですが、それに継ぐのが、「ヌテッラ」というチョコレートクリーム〔写真〕。ヌテッラは、子供のいる家庭だけでなく、世代を超えて愛されています。

  ヌテッラは、80年ほど前に、北イタリアのトリノ近郊の菓子職人が、へーゼルナッツのペーストと、ココアをベースにした「塗るチョコレート」を売り出したのが始まり。普通のチョコレートとは、滑らかさも味わいも一味違います。

  食べ方は、朝食のパン、ビスケット、ケーキ、アイスクリームなどに塗るだけでなく、イチゴやパイナップル、キウイなど酸味のある果物に添えても相性は抜群。ピザ店のメニューにも、素焼きのピザ生地にヌテッラを塗った甘いピザがあるほどです。

  スーパーには、1`入りのヌテッラ瓶がずらり。クリスマスシーズンにもなると、3`・5`といった大型容器入りが飛ぶように売れます。

  南米メキシコで、薬品として栽培されていたカカオが、スペインを経て、イタリア・トリノのサヴォイァ王宮に渡ってきたのが14世紀。最初は、飲むチョコレートとして、貴族界で大流行し、後に菓子として開発されました。以来、各国の菓子職人たちが、トリノでチョコレート作りを学び、ヨーロッパ全土に普及させたのです。

  今は、チョコレートというと、ベルギーやフランス、スイスを思い浮かべますが、本家本元はトリノ。アルミホイル包みのチョコを開発したのも、トリノ職人です。「チョコレートの都」トリノには、老舗のチョコレート店を巡って試食する観光コースもあります。

  「パッチワークの国」と呼ばれるイタリア。それぞれの地方の歴史、根付いた特徴ある産業・・・それを維持してきた力。ヌテッラも、そこから生み出されたイタリアの素敵な「食文化」の一つなのです。

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