盛岡タイムス Web News 2012年 7月 20日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉107 「感動の続き、緑の感動」草野悟

     
   
     

 この写真は昨年震災後4月末ごろに撮影したものです。陸前高田は友人知人が多く、仕事でも「海と貝のミュージアム」や「黒崎仙峡温泉」などの企画やプロデュースに関わってきたせいか、震災後は胸が痛くなり行きたくない所となっていました。私なりに深いお付き合いの大好きな街でした。

  震災後、毎週行っていた陸前高田。ただただ広いがれき畑のような無残な市街地に、手書きの看板が出現しました。「営業再開、キャベツ苗、春種再入荷」と手書きの看板です。なんという素晴らしい意気込み、と涙が出てきました。佐藤種苗と書いてありましたが、私はまったく知らない方です。「前に進もう」という意気込みに頭が下がりました。生きようとする強烈なインパクトです。

  実は、これが「縁」の続きです。最近、盛岡の佐藤政行種苗という会社の松浦社長から電話がありました。「30数年前お会いした松浦です」と。すぐにわかりました。矢巾の流通団地で「岩手県商工振興展」という当時にしては大きなイベントがあり、私はそのプロデューサーでした。その時に確かに「松浦さん」と仕事をした記憶がよみがえりました。

  あの時から30数年、この「潮風宅配便」を見て、「きっとあの時の草野さん」と、知人を介して確かめてくれました。30数年ぶりの対面。そして、震災後中止していた全国の種苗会社さんとの集まりで講演してほしいとのこと、二つ返事でお引き受けいたしました。

  その時に、この写真を講演で使ったのです。集まった全国の方々が「おー」とため息をついたのが、この写真を出した時です。松浦社長が「何と言う奇遇だろう」と説明してくれました。全国の多くの種苗会社の仲間が、この佐藤種苗さんを応援したそうです。

  たまたまの偶然です。それが皆さんの感動を呼び、そして震災の共有がありました。当事者ばかりではなく、体験していなくても、わかちあう気持ちがありました。うれしい講演でした。

  松浦社長さん、ありがとうございました。そして社員の皆さん、お世話になりました。とってもいい日でした。(岩手県中核観光コーディネーター)


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