盛岡タイムス Web News 2012年 8月  6日 (月)

       

■ 〈幸遊記〉83 照井良平の「ばあさんのせなか」 照井顕

 陸前高田出身で、花巻在住の詩人・照井良平さん(66)が、毎年、紫波町あづまね山麓にて実行委が開催している「オータムジャズ祭」に来てくれて、「ジャズinビューガーデン」という詩を書いてくれたのは2008年。

  その詩を中心に、彼の作品を僕が書にし、「照井二人展」として紫波の「ひのやサロン・鈴の音」に飾ったのは09年の1月。彼はその詩をその年のオータムジャズ祭で朗読。その時のあいさつが「ジョニー・照井の兄弟です」だった。そう、今は亡き僕の父は、「省平」だから「良平」は、まるで身内の者のようだ。

  彼の旧姓は西條。だから昔から最上の友と言いたいところだが、昔の彼は知らない。しかし、40年以上も詩を書き続け、現在は県詩人クラブの常任理事や、花巻詩人クラブの会長。全国誌の月刊詩誌である「詩人会議」の運営委員まで務める実力の持ち主。

  昨2011年、京都での第26回国民文化祭の現代詩フェスティバルにて、彼の作品が、何と最優秀文部科学大臣賞を受賞してしまった。震災直後、生まれ育った陸前高田市米崎町に行き、がれきの中に腰掛けた、年いった女性の背中を見た時に、誰かを亡くしたのだろうと直感したことから始まる、対話形式の詩で、気仙地方の方言「気仙語」で語られていく「ばあさんのせなが」

  「わりごど してねぁのにさぁ むすめどまごまで さらっていがれで しまっだぁ まぁだ 見っかていねぁのっす・・・ほんだがら むすめどまごだぢがら見える こごんどごの たがいどごさきて てをあわせ はやぐけぁってこう おりゃいぎでるあいだにけぁってこうって まいにち よんでんのす・・・」

  この詩は今年2012年2月11日、遠野市の「みやもりホール」で行われた「魂(たま)呼ばり」にて彼が朗読し、涙を誘われた陸前高田の方に声をかけられたという。震災詩すでに数十編。詩人としての鎮魂の旅を続ける彼の後姿に、震災前の一編の詩「精霊の鳥」が浮かぶ。「冷たくみぞれの降りしきる日に あなたは逝った 彼方から白い鳥がやって来ると しみじみかたった年の みぞれ降りしきる日に・・・・照井良平」
(開運橋のジョニー店主)

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