盛岡タイムス Web News 2012年 8月 14日 (火)

       

■ 雫石で初めて食害確認 北上するニホンジカ生息域 最大5頭群れ目撃

     
  雫石町内の水田に出没したニホンジカ(雫石町提供)  
  雫石町内の水田に出没したニホンジカ(雫石町提供)
 
  本県では五葉山周辺などが主な生息地となっているニホンジカの生息域が北上してきている。雫石町では今年に入り初めて町役場に目撃情報が寄せられた。町内の目撃情報は5月から8月中旬までに6件。最大で5頭のグループが目撃され、西安庭を中心に南畑、御明神、西根と場所も広範囲にわたる。このうち2カ所では、田植え後の水田15eで苗の食害も確認された。

  ニホンジカの目撃情報は2012年6月末現在で西和賀町などを除き、ほぼ県内全域に広がる。県環境生活部自然保護課の千田啓介主査はニホンジカの北上の一因について「シカは雪の量によって越冬できるかが決まるので、ブレーキ要因の雪が暖冬によって少なくなり、冬場も餌が確保できるようになったことも考えられる」と話す。

  県農林水産部農業振興課によると、ニホンジカによる県内の農作物被害は07年度を境に大きく増加し、11年度は1億5600万円に上った。鳥獣被害防止特措法に基づく市町村からの被害報告が増えたこともあるが、内陸の農業地帯にニホンジカが入ってきたことも要因に挙げられる。被害市町村も北上してきており、それまでは被害報告がなかった盛岡市でも07年度には被害報告が寄せられるようになった。

  全体的な食害の傾向としては、春先には田植え後の苗や植えたばかりのリンゴの樹皮、夏場には中山間地の牧草などが被害に遭っている。特にも遠野市など北上山地の牧野では大きな被害が発生。同課の林尻雄大主査は「盛岡周辺の雫石、滝沢、葛巻などの畜産地帯でニホンジカが増えると被害が甚大になる」と危惧する。

  稲作や畜産を基幹産業とする同町では、これまで見られなかったニホンジカが今後増加することによる農作物や牧草の食害拡大を懸念する。町農林課の米澤一好課長は「一般的には農地を網で囲う対策を取るが、まだそこまではいっていない。牧草の食害も今のところ聞いていないが、おそらく町内でも食べられているのではないか」と話す。

  町では被害拡大の防止と個体数増加の抑制のため、鳥獣の保護および狩猟の適正化に関する法律に基づき、ニホンジカ出没地点にわなを仕掛けているが、10日時点では捕獲には至っていない。12年度中には町被害防止計画を作成し、有害鳥獣からの被害軽減を図るための対策を講じる。

  ニホンジカの駆除には広域的な取り組みによる生息域の拡大阻止が必要となることから、町では10日に行われた12年度の市町村要望でも県に対して「主導的な防除対策、農林産物食害防止等へ補助拡大はもとより、広域振興局管内での連絡体制の強化や重点的な防除体制の構築」を求めた。



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