盛岡タイムス Web News 2012年 8月 24日 (金)

       

■ 〈潮風宅配便〉112 草野悟 月命日の黙祷と願い

     
   
     
  天候不順ながら、震災後1年半、お盆を挟んで各地で供養の行事や復活した夏祭りなどが行われ多くの人でにぎわいました。それでも、それぞれの複雑な思いは計り知れません。一歩、一歩なんですね。

  8月11日に吉里吉里のつつみ保育園にうかがいました。保育園の園長の芳賀さんは、「吉里吉里マザース」を率い、「吉里吉里よってたんせぇ」を地域のお母さんたちと運営しています。安くておいしいメニューはボランティアや工事関係の人たちに大変喜ばれています。三鉄・JRの「駅−1グルメ」にも登場していただきました。

  打ち合わせの最中、14時40分ころに町内放送がありました。マイクを通し、被災したご家族の悲痛な作文が朗読されました。芳賀さんと保育士さん、そしてお子さんたちが外へ出て海のほうに並びました。46分、マイクの合図で黙とうです。小さなお子さんたちは自主的に、自然と手を合わせます。1分の黙とうが終わり、また元通り元気に遊んでいます。芳賀さんが涙ぐみ、「この子たちの家族はまだ見つかっていません。先生たちもご両親を亡くしたりしています」と。月命日のお祈りは、1年半たっても悔しさは全く変わらないと、芳賀さんの弟、ひかる君がつぶやきました。被災地は一見猛烈な勢いで復旧しているように見えます。一方、まだまだつらい渦中にあります。つつみ保育園も、当然ながら子どもさんの数が減っています。残されたこの子どもさんたちが、元気に過ごせる町に少しでも早く、そしてたくましく生きてほしいと願うばかりです。

  東北の夏は元気になります。お盆はつらくなります。夏のイベントを仕掛けた応援者もたくさんおりますが、自己PRも目立ちます。当事者が感じる言葉が「絆」です。「絆」の押し売りにならないよう、応援者は気を付けたいですね。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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