盛岡タイムス Web News 2012年 9月 18日 (火)

       

■ ロボット技術でリハビリ支援 脳卒中による片まひ患者 手指訓練機器の開発目指す

     
  ハンドロボットを活用したリハビリ支援機器のイメージ  
  ハンドロボットを活用したリハビリ支援機器のイメージ  

 パソコン周辺機器の開発などを手がけるピーアンドエーテクノロジーズ(盛岡市永井)の大関一陽取締役と岩手大工学部の三好扶准教授、ICT企業のホロニック・システムズ(紫波町上平沢)の檜山稔社長のグループは、ロボット技術を援用し、脳卒中による片まひ患者の、手指機能のリハビリテーションを支援するシステムの研究開発に取り組んでいる。動く方の手を鏡に映し、動かない手があたかも動いているような錯覚を与えて動作機能を呼び戻す「ミラー療法」を導入。療法士がいない場所でも患者が意欲的に手指の開閉訓練を続けられる支援機器の商品化を目指す。

  3人が現在、手がけているのは、右手にまひがある人のためのリハビリ支援機器。動かすことができる左手の開閉運動を、患者には分からないように検知し、ハンドロボットに療法士の手の動きを再現させる。

  ハンドロボットは左手と同じタイミングで、まひした右手が開閉するよう手指をマッサージ。この時、患者には鏡に映った左手を見てもらい、まひした右手を自分で動かしているような錯覚を起こさせる。筋肉の硬直をほぐすだけでなく、神経機能の回復を働き掛けるのが大きな特徴だ。

  患者の左手に触れることなく動きを正確に検出するシステムや、動作の限界を察知して安全装置が働く仕組みなどを構築。人間の手に近い滑らかさを出すため、腕の回転軸に斜めの運動を加えるなどハード面でも工夫を凝らす。患者のやる気を持続させるため、ゲーム感覚でリハビリ回数や効果をスコア化する機能や、リハビリデータを自動的に記録し、患者や療法士らが情報共有できる機能の開発にも挑戦する。

  研究は2年間で最高800万円が補助される「いわて戦略的研究開発推進事業」に採択された。事業期間内に改良試作機を完成させ、その後3年以内には商品化にこぎつけたいという。

     
   ロボット技術を援用したリハビリ支援機器の開発に取り組む大関一陽さん、三好扶准教授、檜山稔さん(左から)  
   ロボット技術を援用したリハビリ支援機器の開発に取り組む大関一陽さん、三好扶准教授、檜山稔さん(左から)
 


  脳の血管がつまって障害を起こす脳卒中は、高齢化の進展もあり増加傾向。2020年には有病者が288万人になるとの推計もあるが、後遺症の回復を助ける理学療法士や作業療法士は不足している。ロボットが行うのはあくまで、療法士が行う高度なリハビリの前段階のトレーニングだが、活用できれば、限られた専門職が効率よく多くの患者と接することも可能になる。

  「脳卒中の発症数は岩手が全国1位。自分たちもいつ患者になるか分からない。後遺症の回復に役立つのならエンジニアとして貢献したい」と大関さん。体格やまひの状態に合わせて、細かな調整が必要なリハビリ支援機器は「発注者と顔が見える関係を築ける中小企業に向いた開発分野」と話す。

  檜山さんも「医療や福祉の分野は将来的に成長が期待できる。メードイン岩手の支援機器をぜひ、発信したい」と張り切る。

  三好准教授は「継続してリハビリの指導を受けるのが難しい医療過疎地もある。そういった場所に、もし、こんなのがあったらいいと思える機械、自分も困ったときに使いたいと思える機械を作っていきたい」と意欲を燃やす。


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