盛岡タイムス Web News 2012年 9月 28日 (金)

       

■ 〈大連通信〉49 南部駒蔵 梧桐

 大連交通大学も遼寧師範大学も、キャンパスには大きな「ウートン(梧桐。日本語で青桐)」が立ち並び、夏になると涼しい木陰を作ってくれる。昨年の夏、この木陰で日本語を朗読している?(リュウ)さんと出会い、以後、今年も相互学習のパートナーとして交流している。その思い出の梧桐(ゴトウ、またはアオギリと読む)の木陰である。

  広いキャンパスにはこの梧桐がよく似合う。梧桐は中国の原産で想像上の鳥、縁起の良い瑞鳥でもある鳳凰(ほうおう)が宿る樹木とされている。成長が早く、高さ15bに達するものもあるという。小さな公園などに植えたらもてあますが、中国の大学の広いキャンパスにいかにもふさわしい風格がある。

  昨年秋、梧桐がたくさんの葉を落としていた。それを毎日はいて集める人がいた。自転車とリヤカーが合体した小さな車(三輪車)に「熱愛生活 美化環境」と書かれていた。心から生活を愛する、そういう意識をもって環境の美化に取り組んでいるのであろう。こういう意識が市民の間にもって広がっていけば、ゴミをその辺に捨てたり、唾や痰(たん)を吐くなどということもなくなるだろうが、長年の習慣を一挙に変えるのは難しい。

  梧桐は大きな木であるだけに、降ってくる黄色く色あせた葉は、掃いても掃いてもきりがないように見えた。しかし、やがていつの間にか、葉はすっかり散りつくし、木は裸になって幹や枝をさらしていた。

  裸になった梧桐にイチョウの実のように、茶色の実が二つ上下に組になって、あるいは一つだけ残されて、高くに見える。子供の空中ブランコのようだ。風が吹くとブランコが揺れる。空を見上げてその揺れざまをしばし眺める。

  「スズカケ」はこの梧桐とは別な木のようだが、スズカケと命名してもおかしくない。この梧桐も冬から春にかけて広い空を背に、あまたの鈴を身に飾る。風が吹くと鈴の音まで聞こえてくるような気もする。

  それだけでない。梧桐は面白い木で、太い幹が2bほどの高さになると、突然、中心の幹を失い枝分かれしてしまう。幹は太い枝となって四方に広がり、それが広い木陰を作ってくれるのである。それは間違って幹を剪定(せんてい)したように、あるいはまた、突然変異でも起こして幹を失ったようにも見える。

  あるいはまた、見方によっては、帝国が諸国に分裂し、それぞれの国家として栄えているさまを樹木で表しているとも思われる。

  梧桐の木とかけて何と解く?

  人それぞれの空想にいざなう不思議な樹木に、虫除けのために根元の1bほどの高さのところまで、白袴のように塗られている。

  梧桐の葉も散りつくす裸木の ふらここの実の空に揺れをり
(元岩手医大教授)


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