盛岡タイムス Web News 2012年 11月 26日 (月)

       

■  足立区(東京)工芸展に東北作家コーナー 顔の見える支援を

     
  昨年12月の足立のものづくり展に招かれた東北の出展者。左から沢村さん、葭原さん=足立区提供  
  昨年12月の足立のものづくり展に招かれた東北の出展者。左から沢村さん、葭原さん=足立区提供
 

 伝統工芸品など、ものづくりが盛んなことで知られる東京都足立区は、区などが主催する工芸品展に、東日本大震災津波の被災地域で活動するものづくり作家の特別出展ブースを設け、活動を支援している。来場者にも「顔の見える支援ができる」と好評という。関係者は、支援活動にとどまらず、出品者が刺激し合い、互いの向上につなげていく場になればと願う。

  工芸品展への参加は、盛岡市の書道家沢村澄子さん(50)の知人が、足立区職員だったことがきっかけ。「直接、震災津波の被害を受けなくとも、作品の注文や発表の場が激減した仲間が多い」と打ち明けたところ、工芸品展などを担当する産業振興課を紹介してくれた。

  足立区は東京銀器や江戸指物などの伝統工芸品をはじめ、靴・かばんといった手工業が盛んな土地柄。話はトントン拍子に進み、同区伝統工芸振興会と同区が昨年6月に開いた第15回足立伝統工芸品展に、被災地域からの特別出展コーナーが初めて設けられた。

  同区が誇る伝統工芸品を一堂に集めた会場に、沢村さんをはじめ、岩手、宮城、福島3県の陶器、表具、織物など5人の作家が出展。作品販売の機会を得た。

  その後も、同区は「足立のものづくり展」などに4回にわたって東北復興支援の特別ブースを開設。津波被害が大きかった宮城県石巻市の雄勝硯(おがつすずり)生産販売協同組合など計16の団体・個人が作品を発表し、会場に足を運んだ区民らと親しく言葉を交わした。

     
  葭原香織さんのさをり織の出展コーナー=足立区提供  
  葭原香織さんのさをり織の出展コーナー=足立区提供
 


  これまで2度出展した盛岡市のさをり織作家・葭原香織さん(31)は震災当時、沿岸部に住む知人と話し、想像以上の被害の大きさに衝撃を受けた。工芸品展で別の沿岸被災地の出展者とも語り合い、さらに認識が深まったという。

  「知らないがゆえに被災した方々を傷つけていることがある。自分でも何をしたらいいのか分からなかったが、一歩踏み出す場をいただき感謝している」と話す。都会に住む目の肥えた来場者からの助言も「勉強になった」と振り返り、新たな創作意欲を燃やす。

  沢村さんは「震災から1年8カ月が経過し、記憶も風化しがち。こうした場を提供してもらえるのはありがたい。ものづくりに関わる人間同士が切磋琢磨(せっさたくま)しながら、東北の作家が表現する精神性も伝えられたら。息長く交流したい」と願う。

  足立区は12月に区役所庁舎ホールで開催される第13回あだち地場工業製品フェア(10、11日)、第18回足立伝統工芸品展(13、14日)にも、被災地域の作家を支援するための特別出展コーナーを設ける予定。

  同区産業振興課の杉岡淳子課長は「東北のものづくりに関わる方々と対話しながら、顔が見える被災地支援ができる。来場者にとっても良かった。互いの相乗効果で、より多くの消費者に手に取ってもらえるような作品を生み出す機会に、進化していけるといい」と期待する。


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