盛岡タイムス Web News 2012年 12月 20日 (木)

       

■  衆院選〈岩手の民意─下したもの 求めるもの(中)〉1区 風弱く混戦の三つどもえ 内向きなのに票読み苦心 誰にも投票しない4割 支持基盤の奪い合い

 衆院選岩手1区は、候補の顔ぶれがそろわない段階から激戦が予想される異様な事態だった。民主党は分裂で支持層を日本未来の党と二分する「同士討ち」、自民党は「漁夫の利」で好機をうかがう│政権交代、東日本大震災津波を経て有権者の心に芽生えた「政治とは」の問いに、明確な答えを示せぬまま、3陣営は票取り合戦へ突っ込んだ。投票率59・01%と6割を切ったのは、内向きな戦いの結果だった。有権者の約40%に当たる「民意」は、1区にいた候補5人の誰にも投票しなかった。(大ア真士)

     
  岩手1区で三つどもえ戦を演じた高橋比奈子氏、達増陽子氏、階猛氏(左から)。公示前日3日の公開討論会で顔をそろえた3人は、得票をどう分析していたのだろう  
   岩手1区で三つどもえ戦を演じた高橋比奈子氏、達増陽子氏、階猛氏(左から)。公示前日3日の公開討論会で顔をそろえた3人は、得票をどう分析していたのだろう  

  民主の階猛氏(46)は、党分裂で離脱した小沢一郎氏を支持する達増知事から引き継いだ基礎票を、支持が重複する未来の達増陽子氏(47)と奪い合った。自民の高橋比奈子氏(54)は無党派層に支持を求める「空中戦」を選挙後半に封印。党支持基盤のあいさつ回りへ切り替えた。

  解散が唐突で、重要課題が並んで争点がぼやけた。1区の構図が固まったのも公示直前となり、選挙戦12日間の短期決戦となった。どこまで掘り起こせるか分からない新規の支持より、各陣営は基盤をしっかり固めることに注力せざるを得なかった面がある。

  支持基盤や基礎票は本来、投票率が上下しても、逆風・追い風の変動が少ない。投票率が下がれば支持基盤を持つ陣営に有利だ。当初予想された三つどもえ戦の結果、階氏が高橋氏、達増氏に1万票以上、得票率で5ポイント以上差を付けた。

  にもかかわらず今回は、3陣営がその票読みに悩んだり、得票見込みを読み違えた。

  前回2009年8月、階氏は約11万6千票を獲得。有権者全体の42%を占め、今回棄権した有権者数に匹敵する得票だった。今回は追い風分を割り引いても約10万票の基礎票を、階、達増両氏で奪い合うことになった。

  一方、高橋氏は前回約5万600票を獲得。逆風だった前回得票が基礎票で、今回積み増しができると読む陣営関係者もいた。民主分裂による「漁夫の利」に期待が膨らんだ。

  階氏と達増氏の攻防は最終盤まで続いた。態度保留の支持者、有権者が多く、どこまで支持を確保または奪えたか分からなかった。階氏は後半、無党派層の支持も広く集めた。 投票日。階氏は開票から1時間以上経過し、テレビ1社が当確を伝えても会場入りに慎重だった。当選後「今までは基盤があって整った舞台の上で役者をしていれば良かった。今回は1日1日を乗り越えながら何とか乗り越えた」と厳しい戦いを振り返った。

  達増氏陣営も投票日まで得票数の伸びを把握できず、3番手にとどまった。都南地区の70代男性は「階さんと違い、こちらは応援する県議も市議もいなかった。そう考えれば達増さんは善戦したと思う」と話す。

  高橋氏の陣営は全国的な自民優勢の情報に比例復活がよぎり、失速。党支持層の高齢化、支部長就任から選挙前までの運動量が乏しく、逆風だった階氏を破れなかった。


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