盛岡タイムス Web News 2013年  1月  20日 (日)

       

■  〈ジジからの絵手紙〉28 菅森幸一 高松の池

     
   
     

 当時の「高松の池」は冬になると全面が氷で覆われ、盛岡市民の絶好のスケートリンクであった。何しろ昭和24年には全国学生氷上選手権が開かれ、後には国体まで開かれた全国でも有数の天然スケート場だったんだ。

  当然ジジたちも遊びに通ったが、休日ばかりでなく授業のある日でも学校の帰りによく出掛けたものだ。冬の日は短く、どんなに急いでも到着する頃には辺りは薄暗くなっており、ランドセルを放り投げるや持参の下駄スケートを履き、滑っている人々の輪の中に入り込むのだった。

  池の周りは照明が少なく月夜の晩でもないと人の顔も良く見えないのだが、そんな中で彼女同伴で遊んでいるアメリカの兵隊さんの周辺だけがやけに明るく輝いている。よく見るとエンジンをかけたまま自動車のライトをつけっ放しにして滑っているのだ。

  スケートはあまり上手じゃなかったが、せいぜい襟巻きと手袋ぐらいの防寒具で震えているジジたちには、途方もなく暖かそうなオーバーコートを着て遊んでいるアメリカ兵が何ともうらやましくてならなかった。


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