盛岡タイムス Web News 2013年  3月 8日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉140 草野悟 偶然のコンサート

     
   
     

 あと3日で忌まわしい「3・11」から丸2年です。もう2年たったという人、まだ2年という人、時の流れにはそれぞれの差があります。大事な家族を亡くした方にとっては、まだ「その時」のままです。

  米沢の友人鈴木幸一さんから依頼があり、二胡奏者を探してほしいとのこと。早速つてを頼って探しました。そうしたら、千葉から1年以上通い続け、仮設団地などでボランティア演奏を続けていた「真真(しんしん)さん」が見つかりました。電話でやりとりし、陸前高田でお会いすることになりました。「じゃあどこで?」「私の友人の家で」「じゃあ、そこで演奏ができれば」「それは願ってもないこと」と、とんとん拍子に話が進み、2月28日伊藤光高さん(故人)の家でミニコンサートとなった次第なのです。

  伊藤光高さんは私のかけがえのない友人でした。市民会館で多くの市民と共に犠牲になりました。少しずつ元気になってきたように見える奥さんの敏子さんが大変喜び、近所の人たちに声をかけたらたくさん集まってきました。二胡奏者の「真真さん」とコンビを組んでいる秋田のギタリスト「あるまんど 山平さん」の2人での演奏です。何とも言えない憂いを帯びた素晴らしい二胡の音色に、山平さんのギターが重なり合います。「蘇州夜曲」そして昨年の8月に作詞作曲した「追悼の曲」に合わせて真真さんが歌いますと、会場は涙ぽろぽろ、思いでポロポロです。二胡の生演奏は初めてでしたが、伊藤光高さんと一緒に旅行をした大連や上海の空気がよみがえりました。

  真真さん、山平さん、本当にありがとうございました。娘さんもお孫さんを連れて帰省していました。三回忌のためです。光高さんのお母さんのおばあちゃん、身じろぎせずに目をつぶり演奏を聴いていました。伊藤家の庭には、やがてカタクリが満開となり、リンゴの花が咲き乱れます。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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