盛岡タイムス Web News 2013年  3月 19日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉 「植樹祭」 上斗米隆夫

 

角柄(つのがら)の山に木を植える
散り敷いた腐葉の幾層かを掻き分け
スギの苗を植える
この緩やかな斜面は
分校の君たちのために
大人たちがしつらえたものだ

けれども
いつか君らは自らの力で
未開の原野に
ブナやクリやナラやトチなど
劫初からそこにあった
もともろの樹を植えよ

ダイスケの樹と
ユミコの樹が
百年の後 大樹となっても
互いの枝を損なわないように

思い切り伸ばした枝に
小鳥が歌い
膨らんだ実が力いっぱい弾けて
新しい命となるような
そんな樹がいい

ああ 角柄の子よ
君らは限りなく伸びる主体だ
そして地を肥やす豊穣な客体だ
山にあって
ヤマセさえその糧としながら
やがて
山そのものとなるような
希望の樹を植えよう

 (付記)久慈市立侍浜小学校角柄分校は、この三月末で、六十四年の歴史を終え、この三月に閉校になります。


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