盛岡タイムス Web News 2013年  4月 2日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉171 及川彩子 食の組み合わせ

 15年のイタリア暮らしですが、今もこの国の素顔に驚かされることがあります。「ご飯にみそ汁」「和菓子に緑茶」といった、どの国にもある食卓の常識。それを守る姿勢は、なかなか頑固です。

  先日、イタリア人の友人に「日本では、カプッチーノを飲みながら、ピザやサンドイッチを食べるの?」と聞かれました。ある朝のバール(喫茶店)で、日本人観光客の、そのような注文に、店員が妙な顔をしていたと言うのです。

  イタリアでは、カプッチーノなど牛乳入りのコーヒーには、クロワッサンなどの甘いパン類が定番。それ以外の組み合わせはタブー。

  昼はサンドイッチ、ピザなど、塩味のパン類にジュースや食前酒。またコーヒー類なら牛乳なしのエスプレッソ。温かく甘い飲み物に、ピザなどの組み合わせはないのです。

     
   
     

  夜のバールでは、カプッチーノ類はご法度。ナッツや生ハムなどをつまみに、アルコール度の高いリキュールやカクテルで食欲増進に努めます。ここでは「ワインはスマートでない」のが常識。低額なワインの注文は、低階級かアルコール依存症と見られがち。ワインは食事の友なのです。

  日本の若者にも人気という「ワイン・ソムリエ」にも注意が必要です。ワイン通と言うと、おしゃれに見られがちですが、イタリアでの「ワイン好き」は、自らの価値を下げること。この国に、食事を兼ねた居酒屋がないことからも分かるように、「酒に強い」は自慢ではなく自分の弱さを語るようなものなのです。

  パスタと肉・魚料理は同時に食べない、食卓にワインとビールを一緒に並べない…など多くの「暗黙の了解」があるのです。でも窮屈なことばかりではありません。

  チーズの産地、ここアジアゴの驚きの組み合わせは「チーズにはトウガラシ入りジャムや蜂蜜」。中でもお薦めはイチジク〔写真〕。こんなこだわりに、新たな味の発見もあるのです。


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