盛岡タイムス Web News 2013年  4月 21日 (日)

       

■ 前向きになった出会い 飾り巻き寿司の楽しさを 亡き母や友人への感謝込め 教室MOMを紫波町で開設 箱崎孝子さん

     
  紫波町で飾り巻き寿司教室を開いている箱崎さん  
 
紫波町で飾り巻き寿司教室を開いている箱崎さん
 

 紫波町南日詰の箱崎孝子さん(61)は、同所の自宅で飾り巻き寿司(すし)教室「MOM(まむ)」を開いている。飾り巻き寿司は色とりどりの材料で花や果物などを表現する技法で、箱崎さんは寿司インストラクター協会認定「飾り巻き寿司マスターインストラクター」の資格を持っている。重病をきっかけに退職後、気持ちが内向きになっていた箱崎さんを救ったのが飾り巻き寿司との出会いだった。「母や友人のおかげで、今の自分がある。教室を通して、多くの人に楽しんでもらえれば」と話している。

  使う材料は卵焼きやキュウリ、桜でんぶよりも甘さを抑えた「おぼろ」などを使う。材料は色によって、使いたい食材でアレンジできるという。巻くときには、材料をセンチ単位、米をグラム単位で細かく切り、量る。食材ごとに整えたあと、のりに乗せて巻き上げる。

  「工作のような作業で、やっている間は何をしているか分からないと思う。教室に来ていただいた方々は、苦戦しながらも巻き上げ、包丁を入れて絵が浮かび上がると歓声を上げて喜んでくれる。達成感があると思うし、喜んでもらえれば、こちらもうれしくなる」と醍醐味(だいごみ)を話す。

  箱崎さんはJA全農の元職員で、飾り巻き寿司を始めたのは退職後の2011年。勤務していた01年、卵巣がんにかかり入院してしまう。抗がん剤治療で回復後も再発があり、手術を経験して06年8月に職場復帰する。以降も体調が全快せず、仕事上の都合もあり、07年3月に退職した。

  「現場での仕事から、慣れない事務職への異動があった。退院したばかりの自分への配慮だったと思う。体調も完璧ではなかった。それまでの仕事が大好きだったし、今までどんなことがあっても辞めたいと思うことはなかった。退職後は、悔しさと悲しさから、何をする気も起きなかった」と当時を振り返る。

  仕事を辞めたあと、たまたま始めた英会話教室で出会った友人の勧めで、11年12月に東京の飾り巻き寿司講座へ通い始めた。現在の資格を取得し、昨年3月に開講した。教室名のMOMは、自分を後押ししてくれた母親のキクさんへの感謝の気持ちを込めた。

  「11年6月に母が亡くなった。本当に元気な人で、なぜという思いしかなかった。でも、今まで後ろ向きだった自分が迷いなく飾り寿司を始めることができたのは、きっと母が背中を押してくれたからだと思う。ポットマムと呼ばれる菊の花と母の名前、母親という意味も絡めて教室名にした」と涙ながらに語る。

  「病気にかからなければ、友人もできなかったと思うし、教室も開いていないと思う。今の境遇に感謝しながら、これからも生きていきたい」と話している。

  飾り巻き寿司教室のレッスン日は毎週火曜日の午後1時半から同3時半だが、それ以外の日時にも対応するという。1回3千円で、材料などの必要品は箱崎さんが用意。エプロンや三角巾だけで参加でき、希望するレッスン日の3日前までに電話などで申し込みが必要。15人以上の出張教室も行うという。


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