盛岡タイムス Web News 2013年  6月  4日 (火)

       

■  王国三分で骨肉の争い 参院選公示1カ月前の情勢(上)民主、生活が現職を挟撃 平野氏は「県民党」を標ぼう


  参院選は7月4日公示、同21日投開票が見込まれる。岩手選挙区(改選1)には、これまでに過去最多の6人が出馬を表明。公示まで1カ月となり各陣営の前哨戦が熱を帯びている。昨年7月の民主党分裂で、県内の旧民主党勢力は小沢一郎氏率いる生活の党と、同氏と一線を画す現在の民主党とに分裂。さらに民主党の中核にいた現職の平野達男元復興相(59)が無所属に転じた。勢力的には3分割され、それぞれが支持者の再結集にしのぎを削る。一方、衆院選で与党に返り咲いた自民党は、最大の対抗勢力の分裂を機に、県内政界での主導権奪還を狙う。共産党は自公政権への明確な対立軸を打ち出し支持を広げる考えだ。独自候補擁立を見送った社民党は今週末にも結論を出す。

  これまでに立候補を表明したのは、平野氏のほか、民主党の吉田晴美氏(41)、自民党の田中真一氏(46)、共産党の菊池幸夫氏(54)、生活の党の関根敏伸氏(57)、幸福実現党の高橋敬子氏(51)の5新人。

  ■平野達男氏(無所属)

  「もう前を向くしかない。手応えはあると自分に言い聞かせてやる」。1日の北上後援会事務所開きで、平野氏は記者団に、こう語り「県民党」の立場で戦う決意を改めて示した。

  3月末、民主党からの離党を表明。自民党内に支持する動きもあったが実らず、民主党からは除名された。出馬を危ぶむ声さえあったが、同級生ら身近な支持者が新たな政治団体「いわて・絆の会」を結成。事務所開きにこぎ着けた。

  過去2回の選挙は小沢一郎氏の厚い支持基盤の中での戦い。今回は小沢氏とたもとを分かった上、つい最近まで同志だった民主党の公認候補とも戦わなければならない。自前の後援会組織は北上にしかない。一部県議が支援に動くとみられるが、知名度と元復興相という実績のみが頼りだ。

  国会内での政策実現を疑問視する声に「自分が取り組むべき一丁目一番地は復興。党のフィルターを通さずとも直接、復興局や復興庁、各省とやり取りできる」と自信を示す。

  今後、盛岡にも事務所を開設。街頭演説などで支持拡大を図る。中村好雄後援会長は「いろいろあったが、これまでの実績はきちんと評価されるはず」と語った。

  ■民主党

  「党としてしっかり支える」。2日、来県した民主党の細野豪志幹事長は半日、吉田氏と行動を共にし、紫波町や雫石町で開かれた意見交換会にも出席。破格の待遇で新人候補を応援した。

  党分裂後の苦しい衆院選を乗り切り、上げ潮ムードだった県連の状況は平野氏の離党で一転。県内で平野氏の代わりは見つからず、県議の一任を取り付けた階猛県連代表が山形県出身の元国会議員秘書吉田氏の擁立を決めた。

  階氏は「県連が分裂しないよう丁寧に手順を踏んだ」と強調するが、複数の県議が平野氏の応援に回るとみられ、一枚岩での戦いは難しい。2日夜、盛岡市内で開かれた細野幹事長や吉田氏を囲む県連の夕食会にすら、出席した党所属県議は12人中、5人だけ。3日の県議会民主党会派の総会では、会派の結束は維持しつつ、参院選対応は個々の判断に委ねることが確認された。

  一方、同党に軸足を置く連合系の労働団体は吉田氏擁立を歓迎。推薦を決めた連合岩手の砂金文昭会長は、「県民の声なき声、あるべき理想も代弁してくれるはず」と期待する。

  吉田氏は「落下傘候補に抵抗があるのは当然のこと。でも、復興は県内だけではなく、東北、全国一丸となってやらなければならない」と気持ちを引き締める。

  ■生活の党

  前県議の関根氏は5月14日に出馬表明。小沢代表は当初、民主党にも共闘を呼び掛けていたが同党県連が独自候補擁立を決めたことで断念。平野氏と同じ北上出身の関根氏を対抗馬に擁立した。小沢氏の影響力が最も大きい衆院岩手4区を足掛かりに、他候補の切っ先を制し、全県へ支持を広げる作戦だ。

  「とにかく一人でも多くの人と会うこと」。小沢代表が選挙のたびに口にしてきた鉄則を守り1日70人から80人、多い日には100人以上を訪問。小沢代表や主浜了参議院議員、畑浩治衆議院議員の後援会役員らを回り、自身の後援会へ衣替えしてもらう。6日に北上で事務所開きを予定。今月下旬には盛岡にも事務所を開く。

  衆院選で1区、3区の議席を失った小沢派にとって参院選は威信をかけた戦い。小沢代表に近い達増知事も関根氏の応援に積極的に動くとみられる。

  「いろいろな意味で責任の重さを感じている」と関根氏。「自公政権に対抗する、もう一方の塊が必要だ」と語り、野党共闘にも期待する。

  有権者が多い盛岡や沿岸地域での知名度は低く、短時間での浸透が課題。佐々木順一県連幹事長は「新人であれば、知名度は一緒。県議3期の実績もある。TPP、消費税など政策を中心に、落下傘ではない地元の候補であることを前面に押し出していく」と話す。


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