盛岡タイムス Web News 2013年  6月  17日 (月)

       

■  移転に広がる危機感 岩手医大 本町・内丸に空洞化の懸念 求心力は5分の1に

     
  岩手医大の移転で影響が懸念される本町通商店街を望む  
 
岩手医大の移転で影響が懸念される本町通商店街を望む
 


  盛岡市内丸の岩手医大の矢巾町への移転に伴い、大学のひざ元に危機感が広がっている。岩手医大がある本町・内丸かいわいは、かつて県立中央、赤十字と3大病院が集まり、医療機関とともに発展してきた。中央、赤十字の両病院は1987年に移転し、その後は商店街に空き店舗が出始めた。岩手医大は県内最大の医療機関として、大通商店街など盛岡市内に広く、移転の影響が懸念されている。

  岩手医大は2019年に附属病院が矢巾町に移り、建物は解体される。その後は中央通1丁目の循環器センターの建物を利用し、仮称・内丸メディカルセンターが整備され、外来機能は現地に残す。大学教育の機能と病床は大部分が移転するため、現在約1万人の求心力が、移転後は2千人程度に低下する。

  本町振興会(田口圭一会長)は5月下旬、大学担当者を招いて移転に関する説明会を開き、大学側は矢巾町への移転スケジュールを示した。同大の遠藤厚企画部長は「土地を何も使わないわけにいかない。われわれとしても人が住める、集客できる施設ができるかどうか模索している。事業継続しながら、連続性を持って再開発できればと思うが、今の段階でどうなるとは言えない」などと説明した。

  同大の整備基本構想によると、内丸メディカルセンターは中央通1丁目の循環器センターと歯学部跡地に50床規模の病院を整備する。内丸の高度救命センターから附属病院にかけてのブロック2万300平方bは、再開発計画エリアとして利用構想を立てる。

  遠藤部長は「ここがどうなるか関心事と思う。メディカルセンターも大きな建物だが、外来だけになると人を集めるのは難しい。集客のためには何かを作らねばならない」と話し、大学の求心力を継承する施設を模索している。

  本町通商店街は移転による空洞化へ懸念を示している。

  メゾン・ド・クレヨンの大澤成康社長は、「医大が岩手医専だった時代から、羽振りの良い学生さんが大勢いた。この地域は一方通行の道が多くなり、駐車場が不足するようになった。25年ほど前に中央病院が上田に、日赤病院が都南に移り、そのときも病院がなくなる危機感が語られた。入院の見舞いに行く人が買い物し、病院に勤める看護師さんが買い物して帰る町だったので、利用されていた店が閉じていった」と話す。長年にわたり学生相手に文具店を営んできた同店は、環境の変化から、雑貨やファッションに業種を転換し、生き残りを図っている。

  不動産への影響も必至。現在の大学職員で賃貸住宅に住む861人のうち内丸地区に383人、内丸以北に208人、内丸から矢巾町までの間に232人、矢巾町に35人、紫波町以南に3人が居住している。移転により不動産市場に大きく反映されそうだ。

  本町不動産の菊池孝幸社長は「マンション、アパート、駐車場など医大の関係者が借りているものが空くと影響は大きい」と話す。県不動産鑑定士協会の12年度の県地価調査によると、本町通1丁目の1平方bの地価は10年13万9千円、11年13万円、12年12万2千円で、全国のすう勢とともに長期の下落が続いており、移転が拍車をかける可能性がある。

  盛岡大通商店街協同組合の吉田莞爾理事長は「医大は街の中心にある。1万人を引きつけている施設がなくなると街が求心力を失う。本町や内丸だけではなく、盛岡駅前から全体が影響を受けかねない」と見ている。


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