盛岡タイムス Web News 2013年  6月  21日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉155 草野悟 待望、涙の進水式

     
   
     

 餅まきをしています。集落中の人たちがみんな集まり大喜びです。大震災から2年4カ月、6月15日、大船渡市の吉浜・千歳漁港に2dの大きな船が入港してきました。

  ここでちょっと説明しますと、千歳漁港は「せんざいぎょこう」と呼びます。吉浜には根白(こんぱく)漁港と千歳(せんざい)漁港の二つがあり、共に甚大な被害を受け、大半の漁船が破壊、流出しました。それでも人的被害、家屋被害はほとんどなく、吉浜の奇跡と言われています。100年も前から高台移転を成し遂げた素晴らしい成果なのです。

  写真の奥に見えるサッパ船は、全部震災後調達されたものです。この船の船主は、若き千葉豪君です。2隻の船を失い、今まで船なしで共同作業に従事してきました。筆舌に尽くし難き困難を乗り越え、ようやく自船を入手しました。大船渡で進水し母港まで回航してきました。この日は勇ましく、ど演歌をボリュームいっぱいに流しての凱旋(がいせん)です。

  新造船には、漁師仲間から贈られた大漁旗がたなびいています。船名は「千歳丸」。でも今度は読み方が違います。「ちとせまる」と読みます。千歳(せんざい)の千歳(ちとせ)です。実にややっこしい船名です。

  船主の千葉豪君は、吉浜元気組の会長でもあります。体いっぱい身に喜びを表し、お祝い餅を力いっぱい、まいています。私は住民ではありませんが、持ち前の図々しさからしっかり紅白の餅をゲット。車の中で食べた餅に、思わず涙しました。千葉豪君のお父さん、何度も何度も皆さんに感謝し顔をくしゃくしゃにして頭を下げていました。これでエンジン全開、吉浜特産のホタテやワカメの養殖に取り組めます。釣り船にもするようなので、もちろん一番乗りをゲットです。浜の活気が一つ一つ戻ってきています。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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