盛岡タイムス Web News 2013年  8月  8日 (木)

       

■  縄文の精神知る資料に 足形付土版、人体文付深鉢 滝沢村有形文化財に2点指定


     
   湯舟沢[遺跡から出土の足形付土版(長さ5.5a、幅5.5a、厚さ1.2a)  
   湯舟沢[遺跡から出土の足形付土版(長さ5.5a、幅5.5a、厚さ1.2a)
 

 滝沢村は村指定有形文化財として足形付土版、人体文付深鉢の2点を新たに登録した。いずれも縄文時代後期のもので、当時の祭祀や儀礼など精神文化を研究する上で貴重な資料と言える。7日の定例記者会見で、村が発表した。村指定有形文化財は、2010年3月に指定された大釜館遺跡7号溝跡から出土した土器19点以来、村として2件目となる。

  足形付土版は、1982年に湯舟沢[遺跡(同村滝沢字湯舟沢)から出土した縄文時代後期の板状土製品。幼児の左足の形がついた焼き物で、県内では唯一、全国でも出土は10遺跡に満たない珍しいもの。かかと部分は欠損しているが、平沢彌一郎医学博士の当時の鑑定で生後10カ月から12カ月の男児とされた。

  出土例が少ないため用途の特定は難しいが、子どもの健やかな成長を願った「お守り」説、初めて子どもが立ったことを記念した「立ち祝い」説、子どもが死亡した時の「形見」説などが考えられている。同遺跡では、ストーンサークルに接する道の南側の配石遺構から出土したため、子どもまたは母親が亡くなった際に物送りとして壊した可能性もあるという。

  縄文時代の足形付土版は、主に北海道・東北を中心に出土している。村埋蔵文化財センターの桐生正一主査は「子どもを対象にした特徴的な文化で、(同村の遺跡は)現在世界遺産に登録しようという動きがある北海道・北東北の縄文遺跡群など北の文化のある意味で南限に当たるのでは」と考察する。

     
   けやきの平団地遺跡から出土の人体文付深鉢(復元値、高さ45a、口径26.3a)  
   けやきの平団地遺跡から出土の人体文付深鉢(復元値、高さ45a、口径26.3a)
 


  人体文付深鉢は、90年にけやきの平団地遺跡(同村滝沢字湯舟沢)から出土した縄文時代後期の土器。人間の体を土器の文様として表現しているものは全国で50例ほどある。同村の人体文付深鉢の文様は、土偶を思わせる写実的なモチーフで、目鼻口は刺突で表現され、乳房と腹部のへそに当たる箇所には小さく粘土の張り付けがされている。

  土器には、煮こぼれの跡があり、実際に使用されたとみられる。一方、一般的な土器とは異なり、祭祀や儀礼に用いられた可能性も高い。土器が作られた4千年前は、気温が低くなり、食糧資源の維持が難しく、小さな村単位に分散する傾向にあったという。桐生主査は「目に見えないものに頼ったり、仲間意識を強めるために儀式が増えたのでは」と話す。

  村では今後、指定された文化財について村埋蔵文化財センターのほか、小中学校での公開も検討している。

  柳村典秀村長は会見で「同じ縄文時代のものとして世界遺産に登録するものと関連しており、価値があり貴重なものだと思っている。滝沢の地にあったということ、古代の人が生きていたという証しに思いをはせるよう、広く住民に知ってもらいたい。新たな転換点を迎える村で活用も考えていけたら」と話した。


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