盛岡タイムス Web News 2014年  1月  1日 (水)

       

■  おいしくて体に良い食べ物 活発化する6次産業化 質こだわり地域の味  素材大切に菓子づくり 「喜助堂」を経営 無人販売所からの出発 矢巾町の農家 沼田政子さん(56)


 矢巾町でも6次産業化への取り組みが活発になり、昨年からセミナーなどを実施し、産業の活性化への動きが本格化している。同町煙山の農家の沼田政子さん(56)は自宅の畑で取れた野菜などを取り入れるほか、町内や紫波町、盛岡市の農家が生産する果物や鶏卵なども活用した菓子作りをしている。以前は花の栽培、販売がメーンで、冬の仕事として菓子を作り始めたのがきっかけ。食材に人一倍強いこだわりを持つ沼田さんは「自分も、お客さんもおいしいと思える菓子を通して、矢巾に良い食材があることを広められたら」と思いを込める。(山下浩平)

     
  自宅内の工房で菓子作りに取り組む政子さん(右)と母親の停子さん  
  自宅内の工房で菓子作りに取り組む政子さん(右)と母親の停子さん
 


  ■会社勤め辞めて就農

  会社勤めだった沼田さんが就農したのは2007年4月。小菊など花の生産が主で、そのほかはニンジンやカボチャなどの野菜も栽培している。生産物を少しでも販売しようと、同じ時期に始めたのが無人販売店の「喜助堂(きすけどう)」。響きが良い屋号をそのまま店名に、自宅近くに開店した。現在は町内の農家など11人が販売者に加わり、季節の野菜や果物などこだわりの品を販売している。

  菓子作りを始めたのは2009年の秋。「前に住んでいた家が雨漏りしてしまい、建て替えるときに、ついでに工房も作った。前々から菓子作りをやろうと思っていたし、工房も欲しいと思っていたが、思いがけないきっかけになった」と当時を振り返る。

  もともと、「食べることが専門」だったという沼田さん。最初は間食やおやつを指す小昼(こびる)を食べたいと思い、菓子作りを始めた。メーンの菓子はシフォンケーキ。季節によりニンジンやカボチャなど、季節の野菜などが入る。そのほかパウンドケーキやアップルパイ、プリンなど10種類ほどを作る。盛岡市下飯岡のサンフレッシュ都南などで販売している。

  材料は自宅で栽培している野菜のほか、盛岡市の下久保果樹園のリンゴや紫波町の浅沼養鶏場の鶏卵、地元の農家が作るカボチャ「南部一郎」などさまざま。近所の農家から菓子作りを頼まれることもあるといい、地域の作物を活用。地域ぐるみで農産物の生産から加工、販売のサイクルができつつある。

  菓子作りの中で「材料さえ良ければ、おいしいものができる」ことに気付いたという。「市販の菓子などとは違う、手作りの良さに気が付いた。農産物は農薬などを使わず、こだわった栽培方法をしている方の作物を選んで使わせてもらっている。味が全く違ってくるし、健康にもつながる」と素材の大切さを語る。

     
  シフォンケーキやパウンドケーキ、プリンなど、材料にこだわった菓子はさまざま  
  シフォンケーキやパウンドケーキ、プリンなど、材料にこだわった菓子はさまざま
 


  ■矢巾町のセミナーに参加

  昨年から始まった町主催の6次産業化セミナーにも参加している沼田さん。地域のさまざまな食材を活用している沼田さんにとって6次産業化のノウハウを学べることはもちろん、町内農家との出合いにもなり、有意義な体験になっているという。

  同セミナーのほかにも「秋になると、カキの実が木にぶらさがったまま放置されているのを見掛ける。干し柿にして、何とか活用できないものか」と新たな「地域の味」を目指してさまざまなアンテナを立てる。

  沼田さんは「母と商品作りに取り組んでいるが、地域の皆さんには本当にお世話になっている。もうけなどは考えず、とにかく質にこだわっていきたい。自分を含め、みんながおいしいと感じられるような菓子をこれからも作りたい。地元の食材もふんだんに使っているので、菓子を通した矢巾の宣伝にも役立てたらと思う」と、よりおいしい菓子作りに向けた抱負を語る。


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