盛岡タイムス Web News 2014年  1月  7日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉191 及川彩子 東方博士のミサ


     
   
     

 カトリックの国のクリスマスシーズンは、12月25日のイエス誕生の日から、1月6日まで。東方の3博士が、祝いに厩を訪ねる日が、1月6日とされているのです。冬休みも終わり、7日から学校も始まりました。

  昼夜にぎわう観光地を除くと、イタリアのクリスマスシーズンは至って静か。この時期ばかりは、夏のバカンスと違い、家族ごとに、ごちそうを囲んで過ごすのです。

  そんな中、ゆっくり家にいる間もなく、時間に追い立てられて大忙しなのが教会関係者。通常、朝9時から夕方6時の間に4度ほど行われるミサが、この時期は毎時間行われるため、神父、合唱団、オルガニストたちは、時間や地区を分担し、奉仕に努めるのです。

  特に、大きな都市と違い、ここアジアゴ高原には周囲40`bにわたり、小さな村々が点在しています。そのどの村にも教会があり、特別なミサの行われるこの時期は、私を含めアジアゴの3人のオルガン弾きが各地区をも回るのです。

  「サイコは、どの山道も運転できる」と割り当てられたのが、アジアゴ市街から20`離れた人口6百人余りのフォッザ村。日当たりのいい山の斜面を利用した牧畜の村です。

  元日の朝9時、谷から立ち上る霧の中、車を走らせること30分。村の中心にある大理石の教会の扉を開けると、地元の子どもたち10人による聖歌隊が明るく迎えてくれました。

  グレゴリオ聖歌など、この日の選曲を打ち合わせた後、厳かに始まった新年のミサは、やはり身が引き締まります。神父さんの説教は、東方3博士の馬小屋訪問にまつわるお話です〔写真〕。

  さらに神父さんは「今年は、フォッザに初めて、東方からオルガニストも来てくれました。彼女は仏教徒ですが、この絆によって、きっとこの村も特別な年になるでしょう」と、私を紹介してくれました。気恥ずかしくも、温かい手で背中を押される思いでした。
 


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