盛岡タイムス Web News 2014年  1月  8日 (水)

       

■  〈口ずさむとき〉366 伊藤幸子 「郵便番号」


 高架線工事の組める鉄骨に作業員の一人注連縄 (しめなは)飾る
                                    河上れい子

 東京都武蔵野市在住の92歳の歌人の歌。若く、北原白秋の「多磨」より、宮柊二の「コスモス」へ、長い歩みを経てこられた。昭和59年刊の第一歌集「瑞鳳寺坂」は出生地仙台の伊達政宗公御廟(ごびょう)につながる格調高い一巻となっている。「帰省して正月迎へん男らが仕事場を浄む生き生きとして」「出稼の男ら去りし元日の飯場は昼の雨に静まる」等、生き生きと働く人々の、東京オリンピックのころの風景が描かれる。「飯場」「出かせぎ」の語もなつかしさを感じるようになった。

  旧臘(きゅうろう)、年賀状を書きながら、河上さんの旧年の賀状を読み返してみた。毎年丁寧なお心映えの伝わるごあいさつを四半世紀も頂いている。それが何だかこの頃、郵便番号が筆圧薄くなられたようなので大冊の「ぽすたるガイド」を開いてみた。「平成10年2月2日から郵便番号が7ケタになります」と表紙に大書されてある。

  さて、その「武蔵野市」のページに、同年1月24日の「天声人語」の切り抜きがはさんであり、読んで驚いた。「東京都武蔵野市は、郵政省が2月2日から始める郵便番号七桁化に協力しない。今の最大五桁(同市内は180の三桁だけ)の番号をそのまま使う。理由は七桁にしても自治体にとって利点はないから。逆にコンピューターのプログラム変更費用が大きく、『あて名の市町村名を省略できる』点もさほどの利便とは思えない。コンピューターに手を加える必要や、社会全体が支払う関連経費は膨大だ。実施直前になって、ようやく実感として問題点がわかってきた」とある。

  7桁になってからでも16年の歴史、武蔵野市もさすがに7桁施行になっている。わが家では届く賀状の中に、おひとりだけ、ご自分の番号を書かない方がおられる。私もはじめのころは調べて書いていたが、これは「郵便番号書かない主義」を貫いておられるのかと判断し、この1枚だけ7桁空白のままで出している。(もちろんそれでも届く)

  今回も小学生の孫が、届いた年賀状の仕分けをしてくれた。ア行からワ行までのカードを作り、てきぱきとまとめてくれて大助かり。ことしは滝沢新市の郵便番号が大幅改訂で住所録を更新しなければならない。

  「初めてを会ふひまごなれどいとせめて髪ととのへむと美容室に来つ」とは河上さんの近詠。孫の産んだ子、新しい係累のめでたさ。私もあと10年もしたら孫に年賀状作成システムを作ってもらえるかと期待しつつ、二人の手作業を楽しんでいる。(八幡平市、歌人)


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