盛岡タイムス Web News 2014年  2月  16日 (日)

       

■ 〈体感思観〉 「ケータイ世代」の一票は 編集局 鎌田 大介

 政局が動くとき、次の政権を一刻も早く見極めようとするのは記者の本能だ。選挙報道には、政権にふさわしいリーダーを求める有権者の社会的本能を、的確に読み取る使命がある。マスコミの電話アンケートは、その有力な根拠として行われる。本社のアンケートは電話帳から無作為に選んだ番号にダイヤルし、関心のある政策や支持政党、投票相手などを尋ねている。協力いただいた方に、この場を借りて改めて御礼申し上げたい。

  調査結果をもとに、投票日前にはどの候補が優勢か、記者の現場取材と併せて総合的に判断して紙面化する。「一歩リード」という分かりやすい表現のほか、結果によって「広く浸透」「肉薄」「猛追」「集票に全力」など、独特の言い回しで見出しを付ける。

  劣勢の表現を用いた陣営には大きなショックを与え、「違う!」と息巻かれることがある。優勢と判定した陣営からも、「これで相手が巻き返す」と、苦情を漏らされることがある。情勢分析にはことのほか気を使うが、これが選挙報道の花道とあれば、致し方ない。

  アンケートは、選挙結果を推定するため行われる以上、回答の集計によって有権者全体の縮図を描く必要がある。そのために直近の選挙の投票率や人口分布、有権者の属性などを統計学的に組み合わせるノウハウがある。近年はRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)というハイテクな手法が主流化している。

  「地域密着」をモットーにする本紙の場合、中小企業の限界もあって、どうしてもそこまで手を尽くせない。「電話帳から無作為抽出」とだけお断りして、貴重な回答をいただいているのだが、携帯電話の普及により、電話帳に載る固定電話では20代、30代の有権者の声に接するのが非常に困難になった。選挙の当事者たちも、「ケータイ世代」の投票行動をよく見極める必要に迫られている。

  熊谷泉氏が当選した1月末の紫波町長選は、16年ぶりの一騎打ちとなった。一方の候補は「36歳以下は町長選に投票したことがなく、不幸なこと」と訴えた。この選挙こそ若い有権者がカギを握っているのではないか。そこで現場の進言により、期日前投票者に対する小規模な出口調査を行ってみた。やはり電話アンケートの結果よりも伯仲しており、最終盤の分析に、大いに役立った。その場で、老若男女の有権者が町政を熟慮し、大切な一票を投じていることを実感した。今後も工夫を重ね、幅広い年代の声をくみ上げたい。よろしくお願いします。

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  本日より、本紙編集局員によるコラム「体感思観(たいかんしかん)」の連載を開始します。取材現場で観じたことや紙面掲載後に一記者の観点から思考したことなどを書いていきます。コラムを通じて、読者の皆さまお一人お一人と盛岡タイムスの距離が近づき、より身近に感じていただければ幸甚に存じます。


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