盛岡タイムス Web News 2014年  2月  18日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉194回 及川彩子 イケア旋風


     
   
     

 先日、中学1年の次女にせがまれ、勉強机を買いに出掛けました。向かった先は、大学の街パドバ。パドバ大学は、ガリレオが教壇に立ち、コペルニクスも学んだ、ヨーロッパでも最古の大学として知られます。

  その街外れに、スウェーデン資本の大型家具チェーン店「イケア」が進出したのは数年前。以来、北欧デザインのシンプルさとイケア独自の経営と格安値段で、今やイタリアでも大人気。

  以前、長女が購入した机は、ここアジアゴの家具店で生産された典型的なチロル風〔写真〕。それに対し次女は、毎日のように郵便受けに入るイケアの広告を眺め、品定めしていたのです。

  パドバの高速道路出口近くに構えた店舗は広大で、イケア商品を使ってコーディネートされたいくつものモデルルームを巡り、品物を選ぶシステムです。家具はすべて組み立て式。気に入った商品番号を自分でチェックして倉庫に向かい、購入したい商品の箱詰めをピックアップしてレジへ向かうのです。

  店内は一方通行。すべて回らないとレジに着かないので、会計時にはクタク
タ。けれども、その日も若者や家族連れで大繁盛でした。

  また、福祉の国スウェーデンらしく、入り口には、託児所から車椅子、乳母車まで完備。喫茶エリアには、北欧料理も並びます。

  運搬から組み立てまで自己負担の低価格。次女の机は65ユーロ。長女の机の10分の1の値段でした。

  かつてパドバ近郊は、ベネチア貴族のため家具作りで栄えた地。今でも、アンティークな家具店が並びますが、紳士淑女が品定めしながら闊歩(かっぽ)した町も、今は様変わりした様子。イケアは、頑固で保守的なイタリアの一角を切り崩したと言えるのかもしれません。

  帰宅するなり、「早く早く」とせがまれ、説明書とドライバー片手に、主人は日曜大工の夜長となりました。 
 


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