盛岡タイムス Web News 2014年  2月  23日 (日)

       

■  〈体感思観〉 音楽は心の調味料 編集局 大崎真士


  私は音楽が好きだ。聴くよりも歌う方がいい。皆さんに披露できなくて残念だが、行事の取材で盛岡市民歌を斉唱する時は参加者と声をそろえる。「♪朝日射す岩手の裾野、若駒の声もさやかに…」。朗らかな歌詞とメロディー。3番の前にある間奏を知らず歌い出す人が結構、多い。

  東日本大震災津波で芸術関係者が無力感を覚えたという話を耳にした。被災直後は食事、眠る場所、暖をとること。芸術で空腹を満たせないのは当然だ。それでも芸術活動を通じて被災地へ声援を送り続ける人たちがいる。今も形を変えながら。

  昨年の豪雨・台風では盛岡地域に大きな被害があった。これだけ大きな爪痕を残した災害は16年の記者経験通じて初めてだった。

  盛岡市玉山区の下田保育園は昨年9月の台風18号で被災した。園児や関係者を元気づけようと地元ミュージシャンの吉田真央さんらが8日に演奏をプレゼントした。

  吉田さんは取材の中で、焼き肉を例に「音楽はたれ(調味料)」だと語った。「肉はたれなしでも食べられる。でも味気ない。震災も直後に必要なのはおにぎりだった。調味料で腹いっぱいにはならないが、人生にエッセンスを与えられるのが音楽だ」と。

  芸術、音楽に感動して涙を流し、とがった感情がほぐれ、渇いた心が潤う。音楽をはじめ芸術を通じて声援を送る、その意義や理由が分かった気がする。「焼き肉とたれ」の例え話だったけれど。

  記者1年目の夏。1学期の終業式取材で市内の小学1年生のクラスを訪ねた。学活で最後に歌うことになった。「みんな手をつないで」と担任の先生が号令をかけた。子どもたちの手が、私を輪の中に招いた。照れながら一緒に歌った「となりのトトロ」。

  駆け出しで失敗したり迷ったりだった当時。子どもたちの笑顔や元気な歌声にどれだけ励まされたか。聴いて勇気づけられ、歌って元気になる。音楽は心の調味料だ。


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