盛岡タイムス Web News 2014年  3月  2日 (日)

       

■ 〈ジジからの絵手紙〉57 菅森幸一 「アカギレ」

     
   
     

 一般家庭で暖かいお湯がいつでも使えるようになったのはごく最近のことである。それまでは湯釜を火にかけ沸かして使用していたんだ。しかしお湯を使って水仕事を行うことなど当時としてはかなりぜいたくなことで、真冬でも炊事・洗濯に使うのは真水が多く、直接これに携わる女性にとっては非常につらい労働でもあったわけだ。テレビドラマで有名な「おしん」の中でも冬の水仕事のつらさに涙を流す場面が確かあったね。

  この過酷な作業の結果、手足の先が腫れて痛がゆくなる「シモヤケ」や、皮膚がカサカサになって裂ける「ヒビ」という現象に悩まされることになる。特にもこの「ヒビ」が大きくなり赤く裂け目が露出したものを「アカギレ」といってジジの母さんも毎冬これには苦労していた。

  これの治療によく使われたのが、「アカギレ膏(こう)薬」というものだった。二枚貝の貝殻の中に入っている真っ黒な軟膏で、これを火にあぶって溶かし火箸の先につけてアカギレに直接擦り込むのだ。悲鳴を上げながら軟膏を擦り込んでいる母さんの指先をジジは一生懸命、口で息を吹きかけ痛みを和らげようとしたもんだよ。まああまり効果はなかったようだったがね。
 


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