盛岡タイムス Web News 2014年  6月  3日 (火)

       

■  障害者に安心を20年 社会とつながり生きがい 盛岡市内の指定生活介護事業所 94年開設しいのみホーム


     
  フルーツキャップ作りの作業に取り組むしいのみホームの利用者ら  
 
フルーツキャップ作りの作業に取り組むしいのみホームの利用者ら
 

 社会福祉法人岩手しいの木会(吉川達男理事長)が運営する盛岡市長橋町の指定生活介護事業所しいのみホームは、1994年4月の開所から創設20周年を迎えた。同施設には「障害をもつ子どもの親のおもい」という創業精神がある。養護学校などを卒業した障害者が在宅で閉じこもりがちになるのではなく、社会とのつながりの中で生きがいを見つけられる事業所を求め、前身となる施設を築き上げてきた保護者の思いが現在も引き継がれている。

  1982年7月、みたけ養護学校に通う生徒5人が卒業するのに伴い、保護者が「このままだと在宅しかない」と市営住宅の一室で在宅者5人の作業所「盛岡福祉作業所」を始めた。85年には盛岡市心身障害者親の会連絡協議会が結成され、同市青山に無認可のしいのみ福祉ホーム作業所を開設。89年1月2日には、作業所の一部が火災で焼失する不幸にも見舞われたが、窮状を知った県内各地の関係者からの品物や現金、建物修理工事の手伝いなどさまざまな支援により作業が再開された。

  現在地に、しいのみホームが開所したのは94年。同施設は、重度の障害のある利用者や知的と身体の両方の障害がある利用者が多いことも特徴。製品を作って市場の評価につなげるだけの施設ではなく、利用者本人の身体機能を低下させないため、理学療法士の指導を受けた職員がストレッチ活動をしたり、食事や排せつなど生活介護も行う。現在、しいのみホームと、しいのみホームまえがたを合わせた利用定員は57人で、同市をはじめ、滝沢市、矢巾町、雫石町から利用者が通う。利用者は、果物に傷が付くのを防ぐフルーツキャップ作り、空き缶のリサイクル活動、グループごとに創作活動などにも取り組む。土淵中学校との交流や9月には「しいのみ祭」を開催するなど、地域との触れ合いも大切にする。

  94年の開所当時から同施設を利用する盛岡市の津川洋平さん(35)は「折り方が難しいが、フルーツキャップを作るのが楽しい。しいのみ祭の屋台で豚汁も売った。今度は缶つぶしの作業もやってみたい」と今後の活動に意欲を見せる。

  高齢となり、将来的な不安を抱える保護者が増えるなど、20周年を迎える中で新たに見えてきた課題もある。小山昭事務局長は「親の気持ちを考えると、自分が亡くなった後に息子や娘が安心して過ごせる場所があるということが一番。日々、利用者や保護者のニーズ、制度の流れが変わってくる。その中で、利用者が安心して笑顔で通って来られる施設を継続していきたい」と話す。


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