盛岡タイムス Web News 2014年  6月  7日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 泉山圭 人生の最期どこで迎える


 
 人生の最期をどこで迎えるかは、患者はもちろん、家族にとっても重要な問題だ。特に末期のがん患者にとって限られた余命を有意義に過ごすための大きな選択肢となる。先日、訪問診療を専門に行うもりおか往診クリニックの木村幸博医師に在宅医療の現状と課題を聞く機会があった。

  木村医師によると、人生の最期を過ごす場所は、急性期や療養型などの病院、家、緩和ケア病棟などがあるが、統計調査では約6割が自宅で最期まで過ごしたいと思っているという。一方、「家族に迷惑を掛けたくない」「一人暮らしで面倒を見る人がいない」「家に来てくれるようなドクターや看護師がいない」など、さまざまな理由で在宅でのみとりを諦めているのが現状でもある。

  私は2008年3月に祖母を自宅でみとった。周囲に気を使う病院のベッドではなく、長年住み慣れた自宅の方が気が安らぐため、「家に帰りたい」と希望した祖母。幸いわが家は両親ともに、既に退職をしていたため面倒を見る人がいないという心配はなかったが、何かあった場合にどうしたらいいかという不安はあった。

  その不安を解消してくれたのが、在宅医療のチームだった。医師、看護師のほか、ケアマネージャーなど、24時間体制で何かあればすぐに駆け付けてくれた。多くの人の支援で祖母は自宅のベッドの上で、安らかに息を引き取った。

  先日は、岩手医大附属病院の緩和ケア認定看護師教育課程の開講式を取材した。県内外の研修生16人は、将来的に緩和ケア病棟や在宅医療などの現場で、中心的な役割を担う。研修生代表の「患者や家族と寄り添い、限られた時間を共有させてもらうにふさわしい看護師であるため、スペシャリストとしての知識を高める」の言葉が頼もしかった。

  最期の場所をどこで過ごすかの選択肢は、一つでも多い方がいい。患者や家族のさまざまな要望に対応できる体制が、ますます充実することを望みたい。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします