盛岡タイムス Web News 2014年  7月  23日 (水)

       

■  〈花林舎流庭造り─よもやま話〉11 野田坂伸也 よみがえったバラ


 今回は少し横道にそれて、あるバラに関するエピソードをお話しします。

  私は8年前から自宅の敷地に植物園を造り始め、まだ完成していないのですが今年の4月に仮オープンをしました。わが家から遠くないところにポット苗を10年以上も放置していた場所がありました。初めは庭造りの際に使うつもりで育てた苗木だったのですが、仕事量が減ってきたためもあってだんだん使わなくなり、それとともに苗木の世話もおろそかになり潅水(かんすい)もいつのころからか、しなくなってしまいました。ポットに入ったままの苗木ですから潅水しないと晴天が続いた時には乾燥して枯死してしまうはずですが、枯れないで生き延びた苗が半分くらいあったのです(実は、ポット置き場には防草シートを敷き、その上にポットを並べていたのですが、ポットの底穴から出た根がポットとシートの間に伸びて水分を吸収し、そのために潅水しなくてもかろうじて生き延びることができたのではないか、と整理の時に気が付きました。またポット置き場が大きな2本の落葉松の木陰にあったことも幸いしたようです)。

  この場所も、いつまでもそのままにしておくわけにはいきませんので整理することになりました。不要な苗を捨て使えそうなものは別の場所に移します。私は置き場の片隅に陣取りボランティアの人たちにポット苗を端から次々に持ってきてもらい、「捨てる」「残す」と指示します。長年放置していた苗ですが、いよいよ捨てるということになるとその苗を育てていたころの苦しかった状況が思い出されて、胸に迫るものがありました。

     
  「ロサ・モエシー」の赤い花  
 
「ロサ・モエシー」の赤い花
 


  苗木を片付けた後、その場所は休憩広場になり片側には長方形の池を造りました。整理した苗の中にあったヤマアジサイを1本、池の端近くに植えました。ここまでやったのは3年前のことです。

  2年前の8月初旬だったでしょうか、ヤマアジサイの木に真っ赤な花が一つ咲いているのが目に入りました。アジサイの花とも思えない色なので何だろうと近寄ってみると径5aほどの一重の朱赤色の花でした。見たこともない花でしたが「これはバラだ」と直感しました。調べてみると、「ロサ・モエシー」と言う中国の雲南省の標高3000bくらいのところに自生するバラであることが分かりました(ただし、原種そのままではなく濃い赤花の選抜種)。目も覚めるような赤ですが惜しいことに2日で散ってしまいました。

  昨年は3輪咲きましたので今年は5輪くらいかな、と思っていたら、なんと一気に花芽が30ほど付きました。しかし、それが一度に開くのではなく、ちらほらと咲いてくるのが残念なのですが、長く見られるという点ではかえっていいのかもしれません。長所は、とにかく丈夫で肥料もやらないのに大きくなり今のところ病気も虫もつきません。それにしても、十数年も放置されていたのに、よくぞ生き延びてくれた、と驚き感謝しています。花林舎植物園の名物の一つになるでしょう。


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