盛岡タイムス Web News 2014年  8月  6日 (水)

       

■  〈花林舎流庭造りよもやま話〉12 野田坂伸也 緑陰の快楽


     
  夏の花で一番好きなオイランソウ(フロックス・パニキュラータ)  
  夏の花で一番好きなオイランソウ(フロックス・パニキュラータ)
 
  梅雨が明けて猛暑の夏がやってきました。ここ数年、以前には考えられなかったような暑い夏が続いています。関東以南では35度を超えるのは普通で、40度近くという熱帯並みの気温がしばしば現れるのにも驚かなくなっています。この暑さはCO2の増加による地球温暖化のレベルをはるかに超えていますし、冬には逆に異常に寒く雪も多い、という現象を重ねてみると、何か別の公表されていない変化が地球に起こっているのではないか、と私は思っていますが皆さんはどうお考えですか。

  それはさておき、こう暑くなると木陰の涼しさが慕わしくなります。庭は美しさだけではなく快適さも大切なことなのに、花を植えることだけに熱中して気持ちの良いスペースを造ることを忘れている人は、夏になると少し後悔することになります。木陰(緑陰)の快適さは太陽光線の直射を遮って涼しい空間を造ることにありますが、日当たりと日陰では、どれくらいの温度差があるのでしょうか。公園や遊園地で緑陰が乏しいために利用者が少ない、という問題が指摘されたことがあり、実態を調査したことがあります。

  遊園地に行って観察してみると、気温(日陰の温度)25度以上の晴れた日には日当たりにいる人はほとんどゼロで、100%近くの人が木陰の芝生で座ったり寝ころんだりしていました。せっかく遊園地に来たのに何もしないで寝ころんでいるのはもったいない、と思ったのですが自分も試しに寝転んでみると、これが実に気持ちよく、何もしなくても十分満足、だと感じました。

  あちこちで日陰と日当たりの温度を測ってみると、その差はよく晴れた日でおおむね10度から12度くらいでした。つまり、日陰で25度の時には日当たりでは35度、日陰で30度の時には日当たりでは40度となります。夏には日当たりに長くいられないのも納得できます。日陰でも建物の陰などより木陰の方が涼しく感じるのは、視覚的な印象に加えて木の葉からの水分の蒸発(蒸散)や土の面の冷たさがあるからでしょう。

  木陰に入りたくなる期間は、月平均気温から推定するとおおむね札幌で7、8月の2カ月、東京では5〜9月の5カ月、那覇では4〜11月の8カ月となります(盛岡では6〜9月の4カ月)。

  夏は暑くて庭に出る気もうせてしまう、と思っていらっしゃる方も多いでしょうが、涼しい木蔭があれば庭の魅力は夏にこそ一層発揮されるのです。広いお庭であればハンモックをつるしてうたた寝をする(アブがやってくるのがうるさいのですが)楽しみもあります。

  日本はこれから人口がどんどん減っていくそうですし空き家も増えていますから地価が急速に下落していくでしょう。そうすると田舎では広い土地を安く手に入れられるようになり、食料を自給しながら広い庭で好きなことをさまざまできるようになります。私も、もう一度生まれ変わって人口の減った日本を見てみたいです。



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