盛岡タイムス Web News 2014年  9月  20日 (土)

       

■ 〈街医者の公開クリニック〉13 鎌田潤也 副流煙の影響




  ご質問 夫が喫煙歴40年(1日30本)です。結婚して35年余り、自営ですので四六時中、受動喫煙をしてきたと感じています。副流煙の影響をテレビなどで聞いたことはありますが、どれほどの害なのかがよく分かりません。お教えください(59歳、女性)。

  お返事 喫煙の悪影響については、さまざまな説があります。科学的に厳格に調査されたものと、そうでないものとがあり、情報が錯綜(さくそう)している感があります。正しい「たばこの健康被害」というものをご理解していただきたいと思っています。

  まず、たばこの煙には200種類以上の有害物質が含まれており、そのうち40種類以上に発がん性があるとされています。肺がんが有名ですが、実は他の多くのがんにも関わっています。循環器専門医としては、特に「動脈硬化への影響」が気になるところです。これらの詳細は別項に譲りましょう。

  さて、たばこの煙には、喫煙者が吸い込む「主流煙」と、煙草の先端から立ち上る「副流煙」の二つがあります。ご質問いただいた方が感じている「受動喫煙」とは、たばこを自らは決して吸わない人が副流煙あるいは「喫煙者が吐き出した主流煙」を吸わされてしまうことをいいます。

  広く知られてはいないことですが、たばこのフィルターを通ることなく作られる副流煙には、実は主流煙より高濃度の有害物質が含まれているとされます。例えば、ニコチンは2・8倍、タールは3・4倍、一酸化炭素は4・7倍、アンモニアは実に46・0倍、というデータがあります。夫がご質問をいただいた方のような喫煙者である場合、妻は非喫煙者でも非喫煙者の夫を持つ妻と比べて、肺がんによる死亡率が2倍ほどに高まるとさえいわれているのです。

  同居している子どもでは、肺炎、気管支炎、中耳炎、気管支ぜんそくなどの発症率が高いというのも真実のようです。「ごまふ」などのペットへの影響も、実は計り知れないものがあると思われます(図)。

  妊娠中の女性では、一酸化炭素による胎児への低酸素やニコチンによる胎盤への血流低下から胎盤機能の低下を来す、などということも重要事項です。早産や胎児の発育障害の危険性が高まるとの報告があります。授乳期の母親では、母乳からニコチンが赤ちゃんに移行し、ときにニコチン中毒になり、不機嫌、嘔吐(おうと)、下痢などの症状をもたらすこともあります。

  身近な方の病気が、真の病気なのか受動喫煙の影響なのかが不明だ、などということになったら、それは「父親あるいは夫として寂しく恥ずかしい」とは思いませんか? 近年、私の「禁煙外来」に、奥さんや子どものためにも禁煙したいという動機付けで来院される方が増えています。いい傾向だと感じてはいます。目標は何であれ、禁煙の成功につながるのであれば、大歓迎だからです。禁煙外来への積極的な参加、お勧めいたします。

  今回の内容は、受動喫煙による副流煙の影響に関する概説です。多くの方々にご一読いただき、ご理解いただければ幸いです。どうぞ、よろしくお願いいたします。

  (おおどおり鎌田内科クリニック院長)


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