盛岡タイムス Web News 2014年  9月  23日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉 「初秋事変」 蟹沢小陽子

 

入道雲が鎮座する空の真下に
黄金色の稲穂がそよそよと揺れている
雲の端から端までを目で追い
地上に照らすと一町は優にある
入道雲が落ちてきたとしても
稲は秋の象徴だから
潰されることはない
浮遊する鱗雲が
素知らぬ顔して浮かんでおり
入道雲の真上を陣取った上で
黄金の大地と挟みこんで
夏を磨り潰そうとしている
夏の最後の砦こと入道雲
少しずつ少しずつ溶けて消えていく
窓をすり抜けた秋風は、この夏の亡霊で
秋に揉まれて夏は逝く
来年また生まれ変わって出直してこい



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