盛岡タイムス Web News 2014年  12月  16日 (火)

       

■  〈おらがまちかど〉39 馬場恵 盛岡市 しぇあハート村 寮最年長学生の梶山さん ヒミツの料理教室 “甘酒ガールズ”ら生徒


     
   梶山幸永さん(右)から正月料理を習う「甘酒ガールズ」のメンバー。ひと工夫加えたレシピに会話も弾む=11月23日、しぇあハート村マルシェ  
   梶山幸永さん(右)から正月料理を習う「甘酒ガールズ」のメンバー。ひと工夫加えたレシピに会話も弾む=11月23日、しぇあハート村マルシェ
 

 「手のひらに『の』の字を書いて、ピシャンとたたく。こうすると、酢が満遍なく手に付きます」。調理台を囲んだ、おばあちゃんたちは「ほお、なるほど」「すし屋さんがよくやってるもんね」と感心。目を輝かせながらエビ、卵、締めさば、大葉などを酢飯に巻く「彩り手綱巻き」に挑戦した。

  盛岡市本宮5丁目のもりおか復興推進しぇあハート村。この村の一画にある「しぇあハート村マルシェ」で「ヒミツの料理教室」が開かれている。講師は、盛岡調理師専門学校で学ぶ梶山幸永さん(48)。村内の復興支援学生寮で暮らす最年長者だ。11月23日に開かれた料理教室のメニューは、正月をテーマにした5品。ハート村の近所に住む70、80代の女性6人と、同じ入寮生の大久保祥子さん(19)=盛岡大栄養科学部1年、大槌町出身=が作り方を習った。

  宮古市田老で被災した梶山さんは、調理師や食育インストラクターとして復興に貢献したいと決意。会社勤めを辞め、盛岡市が沿岸被災地を離れて学ぶ学生のために用意した復興支援学生寮に入居した。若い学生たちと共同生活しながら、専門学校に通っている。特技で、地域の人や学生たちが親しく交わる手伝いができるのならと講師を引き受けた。

  「楽しい。昔話を聞かせてもらいながら、こちらもいろいろ教えてもらえる。一昔前は、どの家もこういう感じだったはず。一緒に作り、楽しく食べて笑う。宝物のような時間」と梶山さん。ゆくゆくは食を通して高齢者やがん患者の心に寄り沿う仕事がしたいと目標を描く。

  一方、生徒の女性たちは「甘酒ガールズ」の異名を持つ、老人クラブの仲良し6人組。2012年11月、ハート村で行われた震災追悼映画「ひとつ」のロケで百数十人のエキストラに甘酒を振る舞う係を担い、この名が付いた。以来、ハート村では欠かせない存在。イベントの炊き出しや学生との交流会に協力し、地域とハート村を結ぶ役割を果たしている。

  6人のうち4人は一人暮らし。代表の吉田昌子さん(84)は「ここに来ると年を忘れる。行き交うに人にも、いつも元気で、行くところがあっていいなと言われる」と生きがいを感じている。藤村マツエさん(79)も「みんな夫に先立たれたりして互いの気持ちが分かる。きょうもいい勉強になった」と笑顔を見せた。学生の大久保さんは「自分もおじいちゃんやおばあちゃんと一緒に暮らしていた」と古里の暮らしを懐かしんだ。

  東日本大震災の被災地や被災者を応援する拠点として生まれた「しぇあハート村」。住む地域や世代を超え、それぞれの心を温める交流が生まれている。
(馬場恵)


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