盛岡タイムス Web News 2015年  2月  3日 (火)

       

■  〈おらがまちかど〉43 紫波町吉水地域 断絶の危機救った青年会 今日に伝承「御祝い唄」 相原礼以奈


     
  年祝いの席で「御祝い唄」を披露する歌い手たち  
 
年祝いの席で「御祝い唄」を披露する歌い手たち
 

 紫波町水分地区の吉水に、古くから歌い継がれている「吉水部落 御祝い(おいわい)唄」がある。36年前、廃れかけていた歌を地元青年会が伝承し、今日まで受け継いできた。毎年地域の年祝いで披露されている。今年も住民約50人が参加した吉水公民館(坂本安法館長)での祝いの場で、年祝いを迎えた住人7人のために厳かに歌い上げられた。

  御祝い唄はかつて地域ごとに存在していたが、伝承は難しく、徐々に廃れたものが多い。吉水では1979年、青年会が20年ぶりに発足し、御祝い唄の伝承に取りかかった。

  当時30代で青年会の初代会長を務めた坂本好司さんは「青年会は自分たちが地域のためにと再開した。まずは御祝い唄を覚えて伝承しようと、80歳くらいの長老に教わった」と振り返る。歌謡曲のように明確なメロディーはなく、覚えるのは容易ではなかった。

  そんな折、伝承活動が町の広報で紹介され、親戚から結婚式で歌ってほしいと頼まれた。引き受けたからにはと練習に励み、坂本さんは伝承者としての一歩を踏み出したという。

  地域の宝として、長年歌い継がれる御祝い唄。一番の歌詞「御祝いが繁(しげ)ればおつぼの松がそよめく」には、人々に祝いの気持ちが湧き起こり、庭の松がそよぐ情景が歌われる。二番は「上り舟には花が咲く/下り舟には実が成る」と、縁起のいい歌詞が乗せられる。歌詞は7番まであり全曲の演奏時間は20分を超えるため、実際の披露では心を込めて一番だけを歌っている。

  1日に開かれた年祝いの席では坂本さんをはじめ、7人の歌い手がそろいのはんてん姿で登場。力強く晴れやかな歌声に聴衆からは大きな拍手が送られた。

  歌い手の一人、吉水公民館の菅川達夫副館長は「昔この辺りは水けんか(水争い)が起こるなど、稲の実らない貧しい土地だった。少しでも祝いごとがあれば、みんなで御祝い唄を歌って喜び合ったようだ」と語る。坂本さんは「われわれもあと20年は歌い続けられるので、その間に次の世代に伝えられれば絶えることはないと思う」と話した。
   (相原礼以奈)


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