盛岡タイムス Web News 2015年  2月  7日 (土)

       

■ 〈街医者の公開クリニック〉29 花粉症治療の最前線


 
 私が主宰している月に1回の「おおどおり健康教室」、多くの方々のご指導・ご参加をいただき、今年で14年目を迎えることができました。今回の2月21日の講演で第158回目となる「長寿市民公開講座」です。

  さて、「街医者の公開クリニック」、この盛岡タイムス紙に毎月第1土曜日と第3土曜日に連載中です。幸いなことに、多くの皆さまより高いご評価をいただいているようです。一人の医療人として、深く感謝するものです。どうも、ありがとうございます。

  そこで、健康教室とのコラボレーションを図るため、今回から第1土曜日の連載で、その月の健康教室の演者による講演内容の要約を紹介します。皆さまにご一読いただき、盛岡大通商店街協同組合会館コミュニケーションギャラリー・リリオ(21日午後2時)に足をお運びいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

  第158回は、「花粉症治療の最前線〜舌下免疫療法の実際について〜」という演題で、千葉隆史先生(ちば耳鼻咽喉科クリニック院長)に講演いただきます。千葉先生のメッセージは次の通りです。

  ■スギ花粉症とは
  スギ花粉症とは杉の木の花粉が鼻の粘膜で反応して、くしゃみや鼻みず、鼻づまりなどのアレルギーを起こす病気です。スギ花粉は風に乗って100〜300`も飛び病気を引き起こします。盛岡では3月中旬から4月下旬にかけて特に飛散量が多いのですが、敏感な人はすでに症状が出始めている人もおられます。

  スギ花粉症は集中力の低下など、勉強や労働生産性の低下を引き起こすなど、国内では26・5%と国民の4人に1人が悩まされている国民病です。小児では特に増えており多くは改善しないままに大人になります。大人では高齢者を除いて自然に治ることは少なく、一方50〜60歳代でも新たに発症がみられます。

  ■スギ花粉症の治療
  治療の基本はマスクの使用などスギ花粉を避けることです。それでも症状がつらいようであれば薬を使います。薬による治療はどんな症状が強いか(病型)と症状の重さ(重症度)を考え合わせ、症状が強い場合にはいくつかの薬を組み合わせて行われます。また薬の効果が少ない場合にはレーザーなどを用いた手術治療法もあります。

  現在のところ多くが症状を軽くする対処治療が行われていますが、根治を目指す治療方法にアレルゲン免疫療法(減感作療法)があります。

  ■アレルゲン免疫療法について
  アレルゲン免疫療法は、薄く希釈したアレルギーの抗原エキスを少量から投与する治療法で、3年以上続けて治療した場合には長期にわたり症状を抑える可能性のある治療法です。また完全に抑えられない場合でも症状を和らげ薬の使用量を減らすことが期待できます。

  ただし、開始当初は頻回の通院が必要なこと、皮下注射であり痛みを伴うこと、ショックなどの重いアレルギーの副作用が起こりうるなどの課題があります。注射による皮下投与法ではアナフィラキシーショックと呼ばれる最重症の副作用がおこる頻度は0・13%、約800回に1回であり、決してまれな数ではありません。

  ■舌下免疫療法について
  注射による皮下免疫療法に代わる新しい方法として注目されているのが舌下免疫療法です。欧米では既に舌下投与による免疫療法が行われてきましたが、日本国内でも2014年秋に実用化され治療が開始されました。

  この治療は抗原エキスを1日1回舌下(舌の裏)に投与し2分間そのまま保ちその後、飲み込むもの(舌下嚥下法)です。投与は舌下液を徐々に増やしていく増量期とその後の維持期に分けられます。

  現在までの国内臨床試験においては長期間の投薬で花粉症2シーズン目では症状の有意な改善が認められています。安全性評価では19・5%に口内炎、咽喉頭掻痒(そうじょう)、口腔(こうくう)内腫脹(しゅちょう)などの副作用が認められていますが、今のところ重症な副作用アナフィラキシーが起こったという報告はなされてはいません。

  ■最後に
  スギ花粉症の新しい治療法として舌下免疫療法は、今後多くの患者さんが恩恵を受けると思われます。副作用としてのどのかゆみや口腔内腫脹などの口の症状、ぜんそく症状、じんましんなどが挙げられます。また現在のところ報告はありませんがアナフィラキシーショックがおこる可能性もないわけではありません。治療を受けるにあたってはアレルギーに精通した専門医に相談をして、十分に納得したうえで行うことが重要です。どうぞ、よろしくお願いいたします。


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