盛岡タイムス Web News 2015年  2月  8日 (日)

       

■  マグマ上昇10〜40年周期 岩手山 火山防災の見直し提唱 土井宣夫教授(岩手大)きょう講演


     
  岩手山のマグマ上昇について語る土井宣夫教授  
  岩手山のマグマ上昇について語る土井宣夫教授
 

 岩手大学教育学部の土井宣夫教授(63)は、岩手山(2038b)で10〜40年間隔のマグマ上昇が起き、山体への貫入を繰り返していることを突き止めた。噴火が懸念された1998年に山頂地下のマグマが海抜付近まで上昇し、西側へ移動。その後2009年から10年にもマグマが上昇したことが分かっている。岩手山は噴火史上、休止期が長いと考えられていた。土井教授は短い周期で起きるマグマ上昇とその度合いによって噴火の起きる可能性を指摘。火山防災の考え方に対する見直しを提唱する。

  土井教授によると、09―10年のマグマ上昇はGPS観測で判明した。09年6月から10年6月に西側で山体が膨張する地殻変動が捉えられたためだ。98年のマグマ上昇は99年の人工地震による地下構造探査によって突き止められた。

  土井教授は活発化した98年前後の前兆から昨年までの地震活動、地殻変動や噴気をはじめ熱活動などの表面現象の全観測データを時系列でグラフにまとめた。その結果、98年はマグマ上昇で山体が膨張し、同時に地震が群発。マグマで温められた西岩手では99年に黒倉山などで噴気活動、大地獄谷の噴気温度が上昇し、00年にピークを迎えた。

  しかし、09―10年は地震や熱活動には変化が表れなかった。土井教授は「かなり浅いところまで上昇すれば地震活動や熱活動、噴気を引き起こし、最悪の場合は噴火する。表面現象が出ないとマグマが動いていないとみてきた。その見方が間違い」と指摘する。

  大地獄谷よりも西の黒倉山―姥倉山の尾根筋一帯の植生分布が樹林帯にならずササのままの状態から「推定すると、過去に噴気活動が2回起きて植生が大きく破壊されている。98年と同じことが3千年以上前から繰り返されている」と説く。

  この視点で過去の噴火を調べると、1919(大正8)年の大地獄谷火口の水蒸気爆発でもマグマが移動。当時の地震や表面現象から山頂地下を上昇し、西側へ移動した可能性が高いという。マグマ噴火は1732(享保17)年の焼走り溶岩流が最後で、280年以上も噴火していない。

  一方、マグマの上昇は1919年以降も、地震の群発や噴気活動のあった34―35年、58―59年、98年を踏まえると、相当高い頻度で起きている。

  国内の活火山を見ると、北海道・有珠山を除けば、噴火予知の難しさが分かる。昨年の御嶽山は犠牲者57人、行方不明者6人を数えた。

  土井教授は「観測は昔よりも精度が上がったのに予知ができない。予知が難しいなら活動の癖を知っておけば火山防災の役に立つ。そういう側面で岩手山についても見直している。マグマ上昇は、その時の大きな手掛かりだ」と主張する。

  内容の詳細は8日午後2時から盛岡市中央通のエスポワールいわてで開かれる日本技術士会東北本部県支部主催の新春講演会「岩手山を知る」で披露される。参加自由、受講無料。


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