盛岡タイムス Web News 2015年  5月  2日 (土)

       

■ 〈体感思観〉新庁舎に町の入魂を 山下浩平


 4月26日に投開票が行われた矢巾町長選、同町議選は、今後の矢巾町政を占う重要な選挙となった。その後、同29日の任期満了をもって前町長の川村光朗さんが勇退。岩手医大の総合移転をはじめ多方面で活躍し、町の繁栄の礎を築き上げた川村さんに改めて敬意を表したい。

  ところで、同町の選挙の盛り上がりの陰に隠れてしまったと感じている出来事がある。隣町、紫波町の新庁舎落成だ。今や全国の自治体から注目されるようになったオガールプロジェクト(紫波中央駅前都市整備事業)の最重要施設の一つで、町産材と地元企業中心に建設された地産地消庁舎として完成。同19日、町制施行60周年記念と合わせた式典では、前町長の藤原孝さんが特別功労者として表彰され、同プロジェクトの発起人である岡崎正信さんにも感謝状が贈られた。

  役場庁舎は取材でもよく訪れる場所であり、使いやすさが向上し、外観がきれいになるのはうれしいことである。だが、町民としてはあまり役場を利用する機会はない。1人の町民が年間、何回役場を訪れるだろうか。転出入や確定申告など関わる部署は限られるし、建屋が変わろうが働く職員は以前と同じである。

  同プロジェクトが始動し、オガールプラザやオガールベースが完成してからは、全国から自治体職員が視察に来町している。新庁舎が完成したことで、さらに多くの自治体から視察に訪れるだろう。だが、そのこと自体は住民の住みよさにはつながらない。

  新庁舎を拠点に、これからどのような政策を仕掛けていくのか。庁舎移転に伴う現庁舎など公共施設の活用、日詰商店街の活性化、台風などで度重なる浸水に見舞われている地域の防災対策、山間部の過疎化など、同プロジェクト以外にも課題は山積みである。

  紫波町の今後の発展は、新庁舎設置という大事業の完成を新たなスタートと捉えられるかによると考える。庁舎移転で職員一人ひとりの能率が向上し、さまざまな事業を通して町民生活の向上へ寄与することを願う。
 


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします