盛岡タイムス Web News 2015年  6月 19日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉255 草野悟 桜山の若者応援大好きおかみ


     
   
     

 料理がきれいなんです。彩というか、山菜の緑を美しく引き出し見ているだけで目の中は新緑です。鶏料理が出てきました。あいにくこの日は焼き鳥を食べてから伺ったもので「鶏はちょっと」と敬遠したのですが、一口食べたらもうすっかり夢中になって平らげました。あっさりとした中に上品な香りが充満し、肉汁もほのかに残り、シャキシャキの付け合せの塩もみサラダとの相性が程よく、鶏、野菜、鶏、野菜と交互に進み、5分ほどで完食してしまいました。

  で、料理の紹介をしたいのではなく、ママさんのことです。「花か」という居酒屋風スナックを30年やってきました。桜山と共に生きてきた大おかみさんです。ご主人は九州男子。ご自分は西和賀出身。それでやたらと山菜料理が上手なんです。もちろん「ワラビ」の自家製おひたしときたら、家庭自慢は数多くありますが、正真正銘、わたくしめの選択舌では間違いなくナンバーワンなのです。口に含むとトロトロと溶け出します。まるで隣のトトロです。

  で、なにが言いたいかといいますと、これからが本番です。やたらと甘えたがる若者が寄り付く店なのです。じっくり話を聞いてやり、一言、ちょっと返します。この小気味よさが「安心できるんです。すごく、母親みたいなんです」と年下の友人がボソボソと説明してくれます。実はその目のくりっとした若者(男)に案内されて初めて入ったお店でした。「リューちゃんまっすぐ前しか見ないから。いまどきバカ正直な子でね」とママさんも目を細めます。本当の親子と聞いたら、友人の母親とのこと。納得です。甘えているんですね。でもカラオケの音響が素晴らしく、下手な声が美声になるマジックマイクには驚きました。リュー君の十八番一歩手前の「もしもピアノが弾けたなら」が美しい音色を奏でておりました。

  「なんも、なんも」が口癖のママさん。桜山神社に住みついた弥勒菩薩様でした。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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