盛岡タイムス Web News 2015年  6月 24日 (水)

       

■  〈花林舎流庭造り―よもやま話〉35 野田坂伸也 粘度地盤の改良法


     
  粘土の塊と改良資材を混ぜた状態  
 
粘土の塊と改良資材を混ぜた状態
 

 今年の春、粘土地盤のところに芝生を作りたい、というご注文を受けました。ご存知の方も多いと思いますが、粘土のところで植物を生育させるのはとても難しいことなのです。粘土は透水性、通気性が悪く植物の根が伸びていけないばかりか、雨が多い時期には水がたまって根が腐ってしまうからです。芝は排水不良の場所には弱く、雨が続くとすぐに腐ってしまうこともよく知られていますから、特に気を付けなければいけません。

  芝には、種をまいて育てる「西洋芝」と、剥ぎ取ってきた芝を張り付けて育てる「日本芝」がありますが、ここでは手入れが楽な日本芝の「野芝」を使うことにしました。

  粘土は、土粒の間に隙間がなく水も空気も通りませんから根も伸びていけないのです。粘土地盤の中に隙間を作ることが植物が育つために絶対に必要な条件です。そのためには次のようなやり方で改良します。

  @壁のように緻密に堆積している粘土層を掘り起こして砕く。10平方b足らずの小さい芝生でしたから私たちはスコップで掘り起こしましたが、なかなかの重労働でした。深さは20aにしました。一般の庭で芝が育つには十分な深さです。

  A粘土は掘り起こして砕いただけでは、雨が降るとドロドロになり元の緻密な粘土層に戻ってしまいますから、粘土の塊がまたくっついてしまわないように、固まらない材料(土および土壌改良材)を混ぜてやります。赤玉土、鹿沼土、パーライト、バーミキユライトを使いました(砂でもいいのですが重くて運搬が一苦労なのでここでは使いませんでした)。またこれらに加えて完熟した堆肥も混合しました。量はほぼ「粘土7:混合材3」ですが、粘土質の特に多い「重粘土」では混ぜるものをもっと多くしなければなりません。混合材は掘り起こした地盤の上に敷き均しておいてスコップで掘り返しながら混ぜていきます。

  B大体混ざったところで平らにならしましたが一つ大事な作業が残っています。それは「暗渠(あんきょ)」を作ることです。粘土地盤の一部を20aの深さに耕しただけでは、大雨の時にはその区域に水がたまって泥田のようになってしまいますから、そこから水が流れ出すようにしなければなりません。20aより深く1本の溝を掘り溝の中には砂利を詰めます。溝は外のより低い場所まで延長して水が流れ出すようにします。

  C粘土は大小の塊になりその間に混合材が挟まっている状態になっています。雨は混合材の隙間を流れ落ちて暗渠から外に排出されます。粘土塊は長い時間の後に植物の根や微生物や土壌動物の力によって熟成した土に変わります。それを促進するには地表に毎年有機物(刈り草、堆肥、落葉など)を敷き詰めて土壌動物や微生物が活動しやすい環境にしてやることが大切です。

  粘土地盤の改良は労力もかかり時間もかかりますが、それだけに面白い作業でもあります。土を育てて、植物が育つようにするのです。植物を育てることは誰でも知っていますが、土を育てるということは知らない人が多いようです。


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