盛岡タイムス Web News 2016年  6月 2日 (木)

       

■  消費税増税が再延期に 盛岡での反応 胸なで下ろす事業者 景気浮揚 地方に実感弱く 市民の見解は分かれる


     
   8%の増税後も税込み表示価格にこだわる「手づくり味工房彩彩」(ホットライン肴町内)  
   8%の増税後も税込み表示価格にこだわる「手づくり味工房彩彩」(ホットライン肴町内)
 

 2017年4月に予定していた消費税率10%の引き上げを、19年10月まで2年半延期することを1日、安倍首相が表明した。8%に増税後、雇用や消費の経済指標が上向く一方、地方の販売動向が失速するといった大都市と地方の格差が見られる。盛岡市内の事業者は増税延期に胸をなでおろしながら、個人消費の持ち直しや景気の底上げを図る案を模索している。「自分らでどうにかせねば」と勇み立ち、独自の戦略で経済回復の兆しをつかむようだ。

  百貨店・小売業の見解として、川徳の川村宗生社長は今回の決定を「8%の増税時から消費が堅実化している。10%になれば消費環境が悪化するのは目に見えている」とし、県内景気は現状のまま推移すると予想。「今後は事業者の手腕次第。少しでも収益性を高められるよう消費を喚起し、増税に耐えうる能力を備えなければならない」と認識を示す。

  Nanak(中ノ橋通)の神雄司会長は「8%増税時から客単価が下がり、高齢者が消費に慎重になっている」と現状を述べ、「競合の台頭が続くなど小売業は厳しい状況にある。当店はオリジナリティーあふれる商品とサービスを推し進め、景気の底上げにつなげるつもりだ」と話した。

  スーパーを展開するベルジョイス(東安庭)の菊池甚成常務執行役員は「8%増税時から客の購買動向は低迷し、地方においてはアベノミクスの景気浮揚効果が薄い。予定通り増税されていたら消費に大きなブレーキがかかっていただろう」と語る。今後2年半について「軽減税率の対応を万全に整えつつ、岩手の食のインフラを支える企業として安心安全な品物を安価で提供し続けたい」と話した。

  地元飲食店の意見として、焼肉店ぴょんぴょん舎を経営する邉龍雄中原商店社長は、増税に反対する姿勢を見せる。「増税以外で財源を立て直す方法を官民一体で考えるべき」と強調。その背景には「増税のほか派遣法や人口減少など、飲食店経営を圧迫するものが多々ある。働き手や客にとって魅力的な店を作るには、今や事業者の力だけでは困難。事業者の戦略と国の政策を真に一体化させる動きが必要」と説いた。

  地元商店として、産直店手づくり味工房彩彩(肴町)の坂本武彦店長は、「来店者数、売り上げが8%の増税前から右肩下がりなのは変わらず、今後大幅な景気回復も望めない。国の政策に頼らず、キャンペーンやセールなど独自の戦略で上向きのきっかけをつくるしかない」と話した。

  商工業団体の見解として、県中小企業団体中央会の菅原和弘専務理事は「軽減税率への対策を多々講じていたが空振りに終わった」と苦笑い。「増税が延期されようと、このままではアベノミクスの効果が地方に及ばないまま2年半が過ぎる。増税までに地方の景気を回復させるには、地方経済を重視した経済政策が必要」と述べた。

  盛岡大通商店街協同組合の吉田莞爾理事長は、増税自体に断固反対の姿勢。「小規模小売業者にとって増税は大きな痛手。国の借金を国民に負担させるべきではない」と力説。「国会議員定数、議員報酬の削減など財源確保の手段は他にもある。国民も国に頼らず、力を合わせて街を活気付ける方策を練るべき」とした。

  盛岡駅前商店街振興組合の石田和徳理事長は「市内の景況感と合わせ、軽減税率への労力も懸念したので非常によかった」と安堵(あんど)し、「財源確保のために増税はやむを得ないため、2年半で街が活気づく手を打たねば」と危機感は変わっていない。

  消費者の意見として同市東安庭のパート女性(35)は「国の将来を考えると増税は仕方ないが、8%増税の効果が感じられない。増税によって国の財源をどれだけ取り戻せたのか知りたい」。同市厨川の主婦(81)は「国の財源と私たちの暮らしはつながっているから増税は仕方のないこと。人口減少が見込まれる中、少しでも人口(納税者)が多いうちに増税した方がいい」。同市仙北の主婦(72)は「増税する前に、議員の数や給与、公共施設の建設など支出面を精査すべき。民間企業が苦しい中、公務員や議員が潤うのはおかしい」。見解はそれぞれ分かれている。
(飯森歩)


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