盛岡タイムス Web News 2017年  3月  4日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 戸塚航祐 雫石の小学統合は何を目指す


 
 雫石町の御所地区3校は4月に統合され、新設の御所小学校として新たな出発をする。統合を予定する御明神地区では統合先校舎と時期が決まり、西山地区でも盛んに協議が行われている。

  統合を話し合う統合準備委員会では、統合先校舎の決定が最も熱を帯びた話し合いとなった。通学する校舎を現実的観点から考える話し合いだが、委員の意見が熱を帯びるほど「児童の学習環境改善」という準備委設立の目的から離れていくように感じられた。

  統合は1校を残して他を閉校するため、小学校区ごとに「地域の学校を残したい」という思いが強く出てしまった。学校は地域の支えになってきた側面もあり、統合自体に否定的な意見も少なからずあるのは無理からぬことだ。

  だからこそ、各地区で協議を傍聴するたびに準備委の到着点を心配してしまう。準備委は複式学級解消を大きな目的に小学校統合を考える場のはず。各小学校区の思いの強さを主張し合い、目的から遠ざかることは誰も望みはしないだろう。

  今、考えるべきは、子どもたちの選択肢を広げることではないだろうか。記者はテレビで、学習環境改善のため世界的な変化が生じていることを知った。「EdTech(エドテック)」と呼ばれる取り組みだ。

  エドテックは、Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語。人工知能などのIT技術と教育を融合させ、教育方法の幅を広げる。エドテックの手法の一つに「反転授業」がある。反転授業とは、生徒が知識を得てから学校で知識確認を行う授業。例えば、生徒は自宅で科目の授業を視聴し、学校で教師に分からない部分を質問する手法だ。

  小学校統合と直接関係はないエドテックだが、「子どもたちの将来に多くの選択肢を与えたい」という大人から子どもへの思いが準備委と同様に伝わってきた。

  ある委員は協議で「(今後の人口を考えると)この統合が、町内の最後の統合ではないだろう」と話していた。将来を見据え、子どもたちをどのように導くのか。どんな選択肢を与えられるのか。統合後の校舎利用も含め、これからが本当の正念場のように感じられる。


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