盛岡タイムス Web News   2017年  8月  5日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 山下浩平 当たり前に疑問符を


 100歳に到達した方の取材時、本人や家族から食事など普段の生活の様子を聞く。その際、必ず出てくるのがデイサービス(通所介護)の利用頻度。「毎週2回のデイサービスが楽しみ」などという話はよく聞く。要支援者が専門家の介助を受けながら入浴やレクリエーションで楽しむ場所というようなイメージで、記者自身「ああ、そんなものかな」と思っていた。

  先日、大阪府大東市で高齢者の運動機能を改善する体操を軸に、介護予防事業を推進している逢坂伸子理学療法士が講演した。要支援者に対する支援の在り方について「その人に合った運動をデイサービスで提供していれば、3カ月あれば運動機能は改善する。効果が表れなければ、そこのデイサービスは偽物だ」と話していたことに衝撃を受けた。

  「ただの『楽しかった』ではだめ。『ちょっときつかった。でも楽しかった』と利用者が話すくらいでないと、効果は表れない。ただの娯楽施設と化しているところが多い」という話も印象的だった。

  介護事業について、取材で深く取り扱ったことは今までない。デイサービスについても取材で得たごくごくわずかな情報だけでイメージを作り、それをさも当たり前のことのように考えていた。

  介護福祉など自分にはなじみが薄い分野に限らず、自分自身が当然と思っている知識やイメージが、実は重要な要素が抜け落ちていたり、勘違いで実態との食い違いが生じていたり。こういった認識のズレは、後々大きな問題になり得るし、情報を取り扱う仕事にとっては致命傷になる。

  逢坂さんは「高齢者の虚弱化は自然なことと受け止められているが、そうならないような対策は取られてきたのか」とも言っていた。「自然なこと」を問題視して見詰め直し、打ち出した事業だからこそ、大東市では数億円の介護給付費削減という実績を残しているのだろう。

  この講演取材を、今まで当然のように思っていたことに疑問符を付け、考え直してみるきっかけとしたい。数億円とまではいかずとも、決して小さくはない収穫があるはずだ。
 


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