盛岡タイムス Web News   2017年  8月  28日 (月)

       

■  インバウンドには強みに 観光業など外国人を雇用 雫石町鴬宿の長栄館 正社員にセバスチャンさん インターンに台湾の学生


     
   温泉のお湯に触れるセバスチャンさん。伝統の息づく鴬宿温泉で日々仕事に励んでいる  
   温泉のお湯に触れるセバスチャンさん。伝統の息づく鴬宿温泉で日々仕事に励んでいる
 

 欧米から日本への観光客が増え続けている近年、観光業種で外国人就労者の活躍が注目されている。雫石町鴬宿の源泉かけ流し旅館・鶯宿温泉長栄館(照井貴博社長)は今年4月、フランス人留学生のエチエバン・セバスチャンさん(36)を正社員雇用。台湾の女子大学生2人は半年間の就業体験(インターン)に取り組んでいる。セバスチャンさんは「日本の伝統的な文化がおもしろい。(鴬宿は)自然も多く、幸せを感じている」と日本語で話し、雫石町で仕事と生活を楽しんでいる。

  セバスチャンさんは仏国ベルサイユ出身。大学でマーケティングなどを修得。10年前に三島由紀夫や谷崎潤一郎、太宰治などの作品を読んで日本文学への興味を深めた。

  大学卒業後、仕事の休暇を利用してたびたび訪日。同国で翻訳されていない日本語の本を読み、日本の伝統に直接触れたいと考え、盛岡情報ビジネス専門学校日本語学科に留学。盛岡市本町通3丁目のアパートで2年間過ごした。現在は長栄館の社員寮に住んでいる。

  就業のきっかけは「神社や神道の考え方、祭りや神楽(かぐら)に興味があり、日本の観光業の仕事を希望していた。日本語を学ぶために通った盛岡情報ビジネス専門学校日本語学科で紹介を受け、自然豊かで日本の伝統が息づく長栄館を希望した」と語る。

  主な業務は海外向けのウェブサイトの設定、プランの作成など。仏語、英語、独語、日本語の4カ国語を使い分けながら、長栄館でも近年増加する米国や欧米の旅行者に対応している。

  日本政府観光局の資料によると、17年1月から6月までの訪日外客数は1375万7300人。国は2020年までに、東北における外国人宿泊者数を150万人泊とする目標を掲げている。しかし、海外からの問い合わせに対応できる語学力を持ち経営企画に携われる人材の確保が、観光事業の全国的な課題とされている。

  長栄館は、米国のホテル・旅行の口コミや価格比較を中心としたウェブサイト「トリップアドバイザー」で16年と17年にエクセレント認証を受賞。将来的に増えると予想される訪日観光客受け入れを積極化するため、外国人正社員の雇用とインターンを開始した。

  照井社長は「専門学校から紹介された時、受けてチャンスと感じた。団体客ならば添乗員が対応できる。しかし、FIT(個人旅行者)は多国籍化し、ホテル側に求められるサービスも多様化している。また、就労ビザを取れる人は母国で大学を卒業し、人材として考えても魅力的で優秀な人が多い」と語った。

  6月から本格的な業務に携わっているセバスチャンさんへの職場の期待も大きい。経営企画部の百戸徳久部長は「日本語も堪能で大きな戦力。海外からのリピーターも増える。将来的に外国人正社員から母国の伝統などを取り入れて、事業展開ができればと思う」と話していた。

  日本での生活が長いセバスチャンさんだが「戸惑いを感じるのは、敬語の使い分け。場合によって使い分けるので、距離感がつかめないことがある」と戸惑いも。しかし、「この場所での時間はゆったりとして、幸せを感じる。長く勤めて日本文化を深く追求したい」とにこやかに話した。

  照井社長によると、長栄館は今後もインターンの受け入れと外国人正社員雇用を継続する。台湾からのインターンは来年2月からも予定。外国人正社員は、将来的に社員構成全体の2割強を目安に採用を検討。今後も積極的に訪日観光客を受け入れながら、留学生などの採用を続ける。


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