盛岡タイムス Web News   2017年  8月  31日 (木)

       

■  盛岡地域の農産物 収穫へ表情くもらせる 日照不足や雨、低温が影響 イネ内穎褐変病が発生


     
  水田を不安な面持ちで見詰める阿部さん  
 
水田を不安な面持ちで見詰める阿部さん
 

 日照不足や低温、雨の影響で水稲や果菜類など、農産物への影響が広がっている。盛岡地域では、水稲で出穂期に雨が降ることで細菌が入り込み発病する「イネ内穎褐変病(ないえいかっぺんびょう)」が各地で発症しており、平年より収量1〜2割減を見込む農家もいる。また、積算温度が収穫時期の基準より200度ほど足りず、登熟の遅れで刈り取りのめどが付かない状況が続く。野菜もトマトやキュウリなど果菜類の収量減が予測されている。盛岡地方気象台によると31日から9月4日ごろまで「県内は9月下旬並みの気温になる」とする気象情報を出しており、農産物へのさらなる悪影響が懸念される。

  紫波町土舘の農家阿部淳一さん(64)はヒメノモチ、ひとめぼれの2品種を28fで栽培している。ほ場をみると内頴褐変病にかかり、一部が黒く変色した穂がいくつもある。

  阿部さんは「いつもは10eで10俵の収穫だったものが、8俵くらいになる可能性もある。他の農家と話しても稲の状況は必ず話題に挙がる。収穫してみなければ分からないが、良好だった田植え時期からここまで育ったのに、本当に異常な気象。減収になるだろう」と肩を落とす。

  岩手中央農協によると、この病気は出穂期にかけて、雨が降ったことにより、稲の籾に細菌が入り込み変色する。影響は生育状況にもよるが、実が付かない場合や玄米の変色、粒の大部分が粉状で光沢がない死米となり、収量減や検査時の等級落ちにより最終的な農家の減収につながる。発病すると対処のしようがなく、8月上旬に雨が降り続いたため、特にもち米のほ場に多く影響が出ている。

  一方、高温多湿下で発生しやすい「いもち病」は夜間の気温が低いため、不幸中の幸いとして、まん延は免れているという。

  同農協では9月14日にもち米の初検査を実施予定だが、天候不順により収穫が遅れる場合は、先延ばしする場合もある。収穫期は積算温度で950〜1050度必要だが、8月末現在で700度にも達していないという。平年の同時期は900度を超え、登熟具合などを見て収穫時期のめどを付けるか、早ければ収穫を開始した年もある。

     
   もち米のほ場で多くみられているイネ内穎褐変病。穂が黒く変色している  
   もち米のほ場で多くみられているイネ内穎褐変病。穂が黒く変色している
 


  東北農政局の30日発表によると、県内の2017年産水稲の登熟状況が平年比95〜98%の「やや不良」で、7月下旬から8月にかけての低温と日照不足が原因。作柄自体は同102〜105%の「やや良」で、内訳は穂数ともみ数が同102〜105%の「やや多い」などとしている。

  同農協紫波地域営農センターの玉山正彦米穀課長は「褐変病について農家から多く問い合わせが来るが、対策しようがないことを伝えるしかない。出穂期の天気が悪かったため穂の生育状況もばらばら。今後の天候にも左右され、収穫時期を判断するのが厳しい現状にある」と話していた。

  また、野菜類では雨が続いていることで、カビや細菌を原因とした病気もみられている。同農協によるとキュウリやトマトなど果菜類は、30日現在で2割ほどの収量減が見込まれている。

  果樹では日照不足などでブドウやリンゴの着色が悪い状況が続く。リンゴでは「つがる」「さんさ」、ブドウは「デラウェア」「ポートランド」など、わせ品種の時期。収穫は天候不良で若干の遅れはみられるが、収量そのものは平年並みが見込まれている。一方、雨が多いことで味への影響を心配する農家の声も聞かれている。

  紫波町の森川勇長岡中央果樹生産組合長(69)は「今のところ、大きな影響はない。一方で悪天候が続くと機械による薬剤散布ができず、病気や害虫の対策が遅れる」と今後の天候を心配した。


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