盛岡タイムス Web News   2017年  9月  9日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 藤澤則子 岩手で「宙活」を


 「きのう、月の観察できた?」「きょうの夜はどうかなかぁ」。小学校の理科で月の観察の宿題が出されたのだろう。10歳ぐらいの男の子同士の会話をたまたま耳にし、星空を眺める彼らの姿を想像してほほ笑ましく思った。

  今年の「中秋の名月」は10月4日。しばらくは秋雨前線の影響を受けそうだが、秋が深まり空気が澄んでくると、星空を眺めるのが一層楽しくなる。

  先日、盛岡市子ども科学館でプラネタリウムの解説をしている学芸員さんに話を聞く機会があった。出身地の北海道を皮切りに、数カ所の科学館・プラネタリウム勤務を経て盛岡に来たといい、「少し足を伸ばせば高原があり、星が美しく見える場所が多い」と本県の魅力を語っていた。

  毎日が慌ただしく過ぎるので忘れていたが、岩手には星空観賞スポットが数多くある。環境省主催の2007年度冬期全国星空継続観察で「ひろのまきば天文台」(洋野町)が「日本一の星空観察適地」に選ばれた他、天然のプラネタリムは山に高原に数え切れない。

  数年前の秋、青森の知人家族と一戸町内の施設でキャンプした際、同町の観光天文台を訪ねるイベントがあり、わくわくして夜のバスに乗り込んだ。

  標高668bの高森高原の近くにある天文台への道は、真っ暗な山道。バスの揺れに酔ってしまったこともあり、実際よりも長い時間と距離に感じた。

  ようやく到着した天文台で出迎えてくれたのは、長めの髪を後ろで束ね、ハットにベスト姿の男性。まさに星空の案内人という雰囲気。「ここは銀河ステーションですか」という言葉を飲み込み、ぼうっとした頭を振るった。

  望遠鏡で見せてもらった星の名前は覚えていないが、果てしないほど遠くにある星々をとらえたとき、自分の立っている場所が宇宙につながっているような不思議な感覚になった。

  本県出身の宮澤賢治が書いた「銀河鉄道の夜」や星めぐりの歌≠ナ知られる「双子の星」も、宇宙へのロマンを広げてくれる。今時の言葉でいうと、「星活(ほしかつ)」「宙活(そらかつ)」に岩手は最適地だ。1日の終わり、いっときでも空に目を向けてみたい。
 


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