盛岡タイムス Web News   2018年   4月  7日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 戸塚航祐 終活学生に願うこと



 3月に新卒予定者の学生向け企業説明会を取材した際、人手不足を背景に学生に焦りを感じさせる企業に比べ、学生からは全体的に仕事と休みのバランスを重要視する傾向が強まっていると感じた。

  説明会では、比較的生活と仕事のバランスがとりやすい完全週休2日制の公務員、個人の時間に理解のある企業の担当者から説明を聞く学生が見られた。取材で企業選びの基準を聞くと、多くの新卒予定者は「地元から通うことができる安定した企業」と話していた。

  「安定」と答えた学生は、1時間当たりの仕事量と給与のバランスを考えているのだろうか。例えば基本給14万円で、祝日休日の完全週休2日制を採用する企業の勤務日数は1カ月約20日。1日8時間勤務として約160時間となる。これを基本給で割り算すると時給は875円。この時給が高いか安いか入社前に判断は難しいため、休みが確保できていれば仕事量とバランスが取れると判断したのかもしれない。

  だが、安定した大企業に入って悩む若者もいる。IT企業を知る人に聞いた話だが、大企業の業務は、企画の調整や細かな書類処理など大きなプロジェクト下での仕事がほとんど。対して小さな企業では、小さな案件でも最先端の技術に触れる機会が多く、20代でチームの指揮を執ることもある。同窓会などで最先端技術に携わる同窓生の話に、時代に置いていかれたような感覚を受けて離職してしまうケースもあるという。

  大企業の強さは「何でもできること」だ。人材や資本に十分な余裕があり、人数が必要な事案にも人材配置で対応できる。対して、小規模の場合は個人のこだわりを仕事にできる気風があるが、個人の技量に依存する場合が多い。

  どちらも一長一短はある。重要なのは何を優先して人生設計をするかだろう。仕事は人生と考える人、個人や夫婦の時間が大事な人など考えはさまざまだが、就職活動をする学生には30歳になる前の自分をできるだけ具体的に想像してほしい。その結果、安定した企業が自身の人生にとって最適解なのか。学生でいられる間に考えてほしいと願う。


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